懐かしのテクノポップ
学生時代に世間を席巻した音楽的ムーブメントは、パンクではなくテクノだった。
今のテクノとは違う。
テクノポップ、当時はこれがテクノだった。
日本なら、YMO、P-MODEL、ヒカシュー、プラスチックス。
海外なら、クラフトワーク、OMD、ウルトラヴォックス、アイスハウス、ニック・カーショウが好きだった。
ポップで時に前衛的な電子音に未来志向を感じていたのかな?
その中で、今も聴くお気に入りはこれ。
YMO『テクノデリック』(1981年)
前作『BGM』と共にアヴァンギャルド路線に舵切りした名作。ピアノ音のゴリゴリした質感が快感。チャートも4位まで行っているというのが、当時の熱狂を物語る。YMO自体が大陸的で、その大陸的なイメージも十分にコマーシャルだった時代。
P-MODEL『Perspective』(1982年)
こちらも前作『POTPOURRI』(1981年)を更に推し進めたP-MODELの極北。歌詞に具体的な意味を求めることが不可能になった。非常に残響の効いた腰の落ちた音使い。
当時は、カセットバージョン『Perspective II』(若干、曲が違った)を愛聴していた。
ウルトラヴォックス『ヴィエナ』(1980年)
テレビCMで、このアルバム収録の「ニュー・ヨーロピアンズ」が流れ、そのギターカッティングにほれ込んでしまった。非常にポップで美しい曲が多いウルトラヴォックスの代表作。
アイスハウス『Icehouse』(1980年)
アルバムジャケットの表記、右 ICEHOUSE がアルバムタイトル、左 FLOWERS がバンド名(後にバンド名をアイスハウスに)。
ウルトラヴォックスにも似た冷ややかな質感の音使い。残念なのは、当時のLPのマスタリングとCDが異なる事。
明らかに音が違う・・・でもこれしかないのだから、ないものねだりは止そう。
こんな初期のムーブメントが後のポップスやテクノで花開く。
TM NETWORK、電気グルーヴ、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅ、・・・ピコ太郎・・・。
ちょっとだけ残念な気がするのは(自分だけかもしれないけど)、政治的発言、ゴシップに左右されすぎてやしまいか。音楽を音楽そのもので楽しんでいたはずなのに・・・とか言い始めると、ウッドストックはどうなんだよ!?ってなことにもなっていくので、深入りは止そう。
今日のBGMはYMO。
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プログレ話(5) - ジェネシス -
ジェネシスを語る上で外せない二人。
ジェネシスを捨てた男・ピーター・ガブリエル
ジェネシスの面白さは、ピーター・ガブリエルの演劇性に依存していたと思う。
ジェネシスとジェスロ・タルあたりに、演劇や文学との融合を強く感じる。
そんな芝居がかった作風は、ピーター・ガブリエルの脱退で消えていき、分かりやすいポップス色を強めていく。
ジェネシスを駄目にして成功させた男・フィル・コリンズ
駄目にしたかどうかは実は微妙な気もする。少なくともセールスという点では大成功しバンドとしての全盛期を迎えるわけだから。
『そして3人が残った』(1978年)以降、もう自分の好きなジェネシスではなくなった。『ディシプリン』以降のキング・クリムゾン、『ロンリー・ハート』以降のイエスのように。
『怪奇骨董音楽箱(Nursery Cryme)』(1971年)
『フォックストロット(Foxtrot)』(1972年)
『月影の騎士(Selling England By The Pound)』(1973年)
ジェネシスなら、まずはこの3枚。
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プログレ話(4) - イエス -
イエスとは、クリス・スクワイアだ。
リック・ウェイクマンはハノンばかりを練習しているうちに独創性を失った退屈なピアニストにしか思えない。唯一気に入っているのは、『ヘンリー八世の六人の妻』。
だから、リック・ウェイクマンが参加していなくて脂がのっている作品はというと、『リレイヤー』一択になる。
イエスはソリストの集まりと言って良い。我も我もと目立ちたがる(ように見える)。普通、音楽の基礎になるのはベースでありドラムスだろう。
その中で、クリス・スクワイアは縦横無尽(気持ちの赴くまま好き勝手)にベースを響かせる。その音を追っていくだけで、笑いがこみあげてくる。
それで良いのか?いいんです!
それがイエスの魅力だ。
ライブでは完璧にアルバムを再現すると言わしめたクラクラするくらいの高度な演奏技術と創意に感動する。
プログレ話(3) - エマーソン・レイク・アンド・パーマー -
最も早く陳腐化したプログレバンドだと思う。
MOOGの音色にプログレッシブを感じたのは今は昔、80年代にはその音色に古さを感じた(今は一周まわって斬新なサウンドということになるのかな?)。
音楽的な胡散臭さもある。
グールドの演奏するバッハは称賛されるが、ベートーヴェン「田園」のピアノバージョンはどうだ?
テクニックのひけらかしにしか見えないホロビッツの「カルメン」は?
「カルメン」はまだしも、減衰系の音で構成されるピアノの世界で「田園」は相当無理があると思う。
成功例は、オーケストラの魔術師・ラヴェルの編曲群位なものだ。
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『展覧会の絵』は胡散臭さの二乗ってことになる。
元はピアノ曲。それをオケに書き換えたラヴェル版。それも下敷きにしつつ、ロックを試みたELP版。
走り気味で疾走感のあるカール・パーマーのドラム、堅実なベースと共に伸びやかな美声も誇らしいグレッグ・レイク、本線は元よりインプロビゼーションの創造性にその才能の高さを示すキース・エマーソン。
たまにどうしても聴きたくなる名盤だ。後にスタジオ版を作ってしまったのは蛇足で、このライブ盤のみで『展覧会の絵』は完結している。
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ELPでは『ラヴ・ビーチ』が感慨深い。当時、もうプログレはオールド・ウェーブ扱いで、“やっつけ仕事”でジャケ写も能天気、トホホ感が強かった。ただし、聴いてみると中身は素晴らしく、「将校と紳士の回顧録」は、堂々とした老兵の黄昏といった趣きに感動し、ああ終わりなのか・・・と泣けた(イントロ部はショパンだった)。
その後、幾多の変遷を重ねて、復活を遂げるが往時の勢いは取り戻すべくもなく・・・それでもキースがステージにいる、それだけで良かった。
2012年、NHKの大河ドラマ『平清盛』で吉松隆編曲による『タルカス』(1971年)オーケストラ・バージョンが流れて驚いた。
クラシック、ジャズをロックに融合したELPの代表作が、今度はクラシック畑に返り咲いた。
2013年3月20日、【吉松 隆 還暦コンサート≪鳥の響展≫】でキースは吉松氏のためにステージに上がり、タルカスを弾きつつ誕生日を祝った。その場に立ち会えたことを感謝しつつ、それがキース・エマーソンを見た最後になってしまったことが残念で仕方がない。
キースがそこにいる、それだけで良かったのに・・・。
このグランドピアノを弾いた姿を忘れない
プログレ話(2) - キング・クリムゾン -
2015年の渋谷ライブは全て行った。
それを思い出すに十分なライブ盤。
ラディカル・アクション~KING CRIMSON ライヴ・イン・ジャパン+モア(Blu-ray Disc付)
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クリムゾン・キングの終焉。
そう思った。
キング・クリムゾンは後ろを振り向かないバンド。
作品ごとに違った顔を見せた。
ロバート・フリップの意志の元、メンバーの選定もされるから、全期で眺めると驚くほど参加メンバーが多いバンドだ。
『ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ』(2003年)を最後にスタジオアルバム(新作)は発表されていない。
2015年の来日では、今まで聴きたくても演奏してもらえなかった作品たちをライブで聴けた。
「21世紀~」、「太陽と戦慄」、「レッド」などなど・・・クリムゾンからの最後のプレゼントだと思って、涙を流しながら聴いていた。
ライブ後、写真まで撮らせてくれた。
2018年は行かなかった。自分の中でのキング・クリムゾンは終わっていたから。