音楽史を読む
クラシック音楽の道しるべとして愛読してきた。
LP自体が一般的ではなくなってしまった現在でも、そこに掲げられたアルバムは名盤の誉れ高きものも多く、新録で良いものが出ても、すぐにこの本で紹介されたアルバムに戻ってきてしまうアヒルの刷り込み状態。
文化・思想・宗教に従属していた音楽が独自の飛翔をしていくバロック以降のダイナミズムを、聴き馴染みのある曲紹介を絡めながらの熱い語りに吸い込まれていく。
今でも、この本を指針にしてクラシック音楽を聴いていこうという層が一定数いると思う。
『名曲三〇〇選―吉田秀和コレクション (ちくま文庫)』として復刻しているが、CD化されたLPも多いので、注釈に加えて欲しかった。
西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)
グレゴリオ聖歌~バロックまでの時代で、何ともモヤモヤしてしまうのは、当時の真の姿(音)を表現することが出来ているのかという事。
クラシック音楽とは?世俗音楽との差は?
芸術としての音楽とは?
楽譜として設計された音楽
設計=構成されるコンポジションとしての音楽
明確な答えに膝を叩いた。
この説明だけで読んだ価値があったと思った。
音楽を望んだ対象(教会・為政者・大衆などなど)の変化が、音楽を変容させ、ついには芸術音楽の終焉に近づいていく様を平明な文章で分かりやすく綴り、説得力がある。
西洋音楽史 (河出文庫)
「形式」と「変容」をキーワードに書かれた音楽史。
書かれた時期が1920年代と古いが、年表的な羅列ではなく、音楽の“何故?”に答えていると思う。
その後の現代音楽の“終焉”を知らないことの幸福を感じる。