120rpm

ミル、キク、モノ、コト

東宝特撮映画の世界 - 1950年代(SF映画) -

地球防衛軍
1957年度作品
●監督:本多猪四郎
●製作:田中友幸
●原作:丘見丈二郎
●脚色:香山滋/木村武
●撮影:小泉一
●特殊技術:荒木秀三郎/渡辺明/城田正雄/有川貞昌
特技監督円谷英二
●音楽:伊福部昭
●美術:安倍輝明
●録音:宮崎正信
●出演:藤田進(森田司令)/熊谷二良(井藤一佐)/三原秀夫(江本司令)/伊藤久哉(関隊長)/中丸忠雄(山本二尉)

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崩れ、陥没など奇怪な現象が相次ぐ富士山麓の村に、突然ロボット怪獣・モゲラが現れた。町を破壊するモゲラを防衛隊はなんとか撃退する。同じ頃目撃された円盤らしき光。その円盤の基地と推測される場所に謎のドームが出現、そこには第5惑星人ミステリアンがいた。彼等は地球人との結婚を要求するとともに、地球侵略を狙っていた。これを拒否し攻撃を仕掛けた防衛隊は、ドームの怪光線の前に全滅に近い打撃を受けてしまう。地球を守るには戦うしかない。全世界が一致団結して地球防衛軍を結成する。敵の光線を跳ね返し、自らも同じ威力の光線を発する新兵器、マーカライト・ファープをはじめ、数々の新兵器でミステリアンに攻撃を開始する地球防衛軍。光線と光線が火花を散らす攻防戦が今、富士の裾野に繰り広げられる。

地球征服を目論む第5惑星人ミステリアンと、地球防衛軍の一大攻防戦を描くSF超大作。怪獣ものに続き“超科学戦争”というジャンルを確立させた記念すべき作品です。ロボット怪獣モゲラ、宇宙ステーション、空飛ぶ軍艦、熱戦反射機マーカライト・ファープなど、登場するメカ兵器が、後の東宝特撮映画に与えた影響は計り知れません。核戦争、科学兵器といった人類への警鐘を内在するストーリーも見応え十分。乱舞する光線のパノラマ等、円谷英二特技監督による息もつかせぬ 特撮シーンは特撮ファンならずとも必見。特撮史上初の立体音響+シネスコサイズの圧倒的迫力で映像化された大スペクタクル!


宇宙人との戦いを、未来の科学というキーワードで描いたSF大作。今ではおなじみのパラボラ型兵器の元祖、マーカライト・ファープが登場、想像を絶する大きさで、ミステリアンに優るとも劣らない人類の科学力を見せつける(?)。

またロボット兵器・モゲラのデザインも、50年代に製作されたとは思えないほど素晴らしい。数々の魅力的な未来兵器は、小松崎茂のデザインによる。

村祭りから地球防衛に話が進んでいく強引な展開が最高に面白い。

 

宇宙大戦争
1959年度作品
●監督:本多猪四郎
●製作:田中友幸
●原作:丘見丈二郎
●脚色:関沢新一
●撮影:小泉一
●特殊技術:荒木秀三郎/有川貞昌渡辺明/岸田九一郎
特技監督円谷英二
●音楽:伊福部昭
●美術:安倍輝明
●録音:三上長七郎
●出演:池部良(勝宮一郎)/安西郷子(白石江津子)/千田是也(安達博士)/土屋嘉男(岩村幸一)/村上冬樹有明警部)

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宇宙人ナタールが発射する「冷却線」による怪事件が世界各国で発生。地球防衛軍は、原子力ロケット・スピップ2機に「熱線砲」を積んでナタールの基地がある月へと出発した。宇宙人の怪電波を受けた岩村の手による妨害を退け宇宙人基地に潜入、苦心の末その中心部を破壊する。だが帰途につこうとするとスピップ1号は岩村の手で壊されていた。飛び立つ2号機にも宇宙人の攻撃が迫った。その時、宇宙人基地破壊によって正気を取り戻した岩村が「熱線砲」で宇宙人を粉砕し、自からも命を落とす。

東宝得意の特撮もので、地球の侵略を狙う宇宙人と地球防衛軍との戦闘を描いたトリック映画。丘見丈二郎の原作を、「檻の中の野郎たち」の関沢新一が脚色し、「上役・下役・ご同役」のコンビ本多猪四郎が監督し、小泉一が撮影した。特技監督円谷英二


絶対零度では重力は無になる”とまじめな顔で言っても良い世界の話。ちょいちょい出てくるエセ科学(当時は必ずしもエセではないんだろうが)が何とも心地よい大らかさがある。特筆するほどのストーリーもない宇宙人侵略モノだが、特撮は、たっぷりと余裕のある引き絵の多用、贅沢な光学合成などその質の高さは、予算のとれた時代を如実に物語る。