サード - ホームベースは見えたか? -
人生は紆余曲折が許されると思っている。
サード(1978)
ふとしたことから少年院に入ることになった少年が、そこでさまざまな経験を通じて少しずつ大人へと成長していく姿を描いた青春映画の秀作。高校野球の3塁手として活躍していたサード。友人のIIBと女の子ふたりで、“どこか大きな町へ行こう”と話し合う。そのためにはお金が必要だと4人は売春を始める。が、ある日ヤクザにつかまったサードは傷害事件を起こしてしまい少年院へ入れられてしまう……。大人になりきれない少年の焦りや苛立ちを、朴訥ながら永島敏行がみごとに演じている。allcinema
今の世の中は変だよ。一発退場なのかい?
サード(永島敏行)はIIB(吉田次昭)を殴る。
“どこに向かって走るんだ、IIB。逃げるなら捕まるなよ”・・・捕まったIIBを殴る。
グラウンドに行くと、IIBがいる。
元気か?
そして言う。
走れよ。自分の速さで。
暗い映画だと全く思わない。ドロドロとした暗部というか、衝動的なリビドーの具現化というか、あーあ、映像にしちゃったよという自分を見透かされたような羞恥心を感じて、当時はいたたまれなかった。
森下愛子の裸身がお目当てでも一向にかまわないが、自分は、サードとIIBの距離感の“青さ”がたまらなく好きだ。
この映画を観てから40年・・・未だに、自分の中の九月の町は見つからない。ホームベースはどこなんだろう。それで良いのかもしれないけど。