120rpm

ミル、キク、モノ、コト

立川談笑 月例独演会 200回記念スペシャル(2019/02/23)

事帰りに、久しぶりに落語。

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立川談笑、記念すべき月例200回目は、談志師匠の愛した演目「九州拭き戻し」。
舞台を一番多く観ているのが談笑師匠。一押しの落語家です。

九州拭き戻し
放蕩が過ぎた若旦那・喜之助が、江戸から流れ流れて九州・肥後の国。
幇間などをやって糊口をしのいできたが万事休す。一文無し。肥後の「江戸屋」に厄介になりながら溜まった祝儀が100両ばかり。望郷の念にかられて荷船に乗り込み江戸を目指すも、嵐に阻まれ、流れ着いたは薩摩・桜島。江戸を目指すも余計に離れてしまったというお話。

何が面白いかというと実に難しい。幻の大ネタというほど、正直、面白くない。それだけにやり手もいない。
嵐の前の遊郭比べの長話などは「黄金餅」の道中づけのごとく、立て板に水でいかないと白けてしまう。吹き戻される船旅の場面の情景描写はとてつもなく力量が試される。

今回の談笑師匠はどうだったかというと、談志師匠の録音を繰り返し聞いてしまっているので・・・分が悪いなという感想かな・・・。長い話で集中力が切れやすい。1席目だったらなあと・・・(以前、談春師匠は1席目にかけてましたね)。それと、後数分伸ばして、“大きな話だね” “いえ、しけた話です” のオチまでやっても良かったのでは?

でもね、談志師匠に怒られる的な話もされていたが、いえいえ、“これをやろうという了見が良い”と褒めてくれるはず。

談笑師匠は、改作、新作も楽しいが、古典を意外と(と言っては失礼だが)しっかり演じてくれる。間(リズムや緩急)はどうしても談志師匠と比較してしまうから心もとない時や師匠譲りか乗る乗らないがこちらから見ていても分かる時もある(人間だもの)。そんな瑕疵も含め、立川流を盛り立ててくれる逸材としてこれからも応援したいし観に行きたい落語家。

月例200回。談笑師匠が息子さんにその話をすると“最終回はいつ?”と返したというから、さすが血は争えないものだと大笑いしてしまった。