120rpm

ミル、キク、モノ、コト

小さな恋のメロディ - 本気で恋をしたのはスクリーンの中の君 -

ラン・パーカーの処女作になるこの作品は、特に日本で受けが良い。

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小さな恋のメロディ(1971)

監督:ワリス・フセイン
製作:デヴィッド・パットナムデヴィッド・ヘミングス
脚本:アラン・パーカー
撮影:ピーター・サシツキー
音楽:ザ・ビー・ジーズ
出演:マーク・レスター(ダニエル)、ジャック・ワイルド(トム)、トレイシー・ハイド(メロディ)、シーラ・スティーフェル(ダニエルの母)

典型的な中流家庭のダニエルと、貧しいながらもやんちゃなトムは大の仲良し。2人は学校が終わると、いつも一緒に遊んでいた。そんなある日、2人は学校で女子生徒がバレエの練習をしている部屋を見つけ、のぞき見をしていた所、その中の一人の少女の姿がダニエルの目に止まった。その美しい少女の名前はメロディ。彼は彼女に夢中になってしまうが……。少年少女の淡い恋心を描いた作品は数多くあるが、本作はその中でも傑出している。メロディを好きになったが打ち明けられないダニエルの繊細な心理描写、そんなダニエルに気づき心穏やかではないがすましているメロディの心情、バレエ教室で踊る彼女の美しさ、その教室で初めて彼女を見たダニエルの心奪われた表情、お墓での初デートの初々しさ、金魚を手にしたメロディのあどけない笑顔……等々、子供のナイーブな恋心をこれ程みずみずしく、微笑ましく描いた作品はまずない。決して忘れられないビージーズの音楽と共に、いっつまでも心に残る珠玉の青春恋愛映画である。一定年齢以上の映画ファンにとってはまさに宝石箱にしまっておきたいような作品なのだ。allcinema

イギリスの子供たちの日常に目を奪われます。

1977年のテレビ放映でのダニエル(マーク・レスター)の声は内海敏彦。聞き馴染みのある声。そう、『あらいぐまラスカル』のスターリングです。1977年は、そのラスカルが放映されていた年でした。憂いのある涙目のマーク・レスターにあの声ですよ。男だってキュンとなります。

男の子たちはというと、ヒロインのメロディを演じたトレイシー・ハイドにくぎ付けです。その声当ては、杉田かおる。当時のイメージだと『パパと呼ばないで』のチー坊。後の酒浸りの毒舌キャラのイメージからは想像できない何とも寂し気な表情が印象的で、トレイシー・ハイドの演技にその声がとても似合っていました。

アラン・パーカーが描く“痛み”は癖になる。

ダニエルとメロディが手に手を取って駆けだした時のトム・オーンショー(ジャック・ワイルド)の“痛み”が一番心に残っている。

ありふれた友情と恋愛の板挟みではあるけれど、恋愛を選択、それを応援する友だちとの大団円、常識という足枷を破壊し希望に向かってトロッコを進めるエンディングに涙を流しつつ、スクリーンの彼女に恋をしたのです。

後日、「あの人は今」などで取り上げられたりもしましたが、どうしてテレビはそういう事をするかな・・・。

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アラン・パーカーの作品で好きなものは後2本。
ピンク・フロイド ザ・ウォール』(1982年)
エンゼル・ハート』(1987年)

特に『エンゼル・ハート』は、後日話題にしたいです。