狐狗狸さんと書いて
コックリさんと読む。
中学時代、大いに流行った。
昭和46年刊行の『狐狗狸さんの秘密』の初版本(付録の文字盤は初版だけ書式が異なっていた)
コックリさんでUFOを呼んだこともある。嘘のような本当の話だ。
成人式の時、“美大に通ってるの?”(絵が得意だったことを覚えていたようだ)と聞いてくるのと同じくらい“まだ、UFO呼べるの?”と聞いてくる同級生が多かったから、呼んだことは皆の記憶にもあったようだ。
それぞれに、その時の様子を聞くと微妙に違っていた。
昼休みにコックリさんをやっていて、UFOを見たいですと伝えると、“はい”という返事。いつ見れますか?と聞くと、今日だと言う。時間はと聞くと、放課後の時間を示した。校舎の屋上から見えますか?と言うと“見える”と答えた。
通っていた中学校の校舎の屋上は、生徒立ち入り禁止だ。
それでもクラス中が盛り上がり、放課後になると一斉に屋上に向かった。
その様子に気づいた担任の女先生は何とか阻止しようとしたものの、生徒に押し切られて一緒に屋上に上がった。
担任は指定された時間を過ぎたら速やかに退散するように指示しながら、その時間が来るのを待っていた。
指定された時間になっても何も現れないので諦めかけた時、西の空に黒い点が現れた。少しずつ移動して、カラスのようにも思えた。
それが段々と大きくなり、円盤だと大騒ぎになった。
校舎の上をゆっくりと通過していく時には、円盤の底に何やら丸い金属質の構造物がいくつか付いているのがはっきりと見えた。
東の空に向かって飛んで見えなくなった時には、子供たちは大興奮だ。
ところが、成人式の時に(それから8年近く経過している)話をしていると、円盤だと言う者もいたが色が違っていたり、そもそもそんな構造物ではなくドラゴンのような不思議な生き物だという者や飛行機だったよねという者などもいて、どうも共通のものを見たとはっきりとは言いづらくなっていた。
先生も見ていたので、何かに遭遇したのは間違いないが、集団ヒステリーの類だったのだろうか?
私は見た。確かにあれは空飛ぶ円盤だったのだ。
と素直に今も思っている。
コックリさんが当たるか当たらないかという話で言えば、“30歳でトラックにはねられて死ぬ”と告げられてかなりビビッていたが、上手くすればその倍の歳にはたどり着けそうだから、推して知るべしというところか。
楽しかった少年時代の記憶。