120rpm

ミル、キク、モノ、コト

プログレ話(3) - エマーソン・レイク・アンド・パーマー -

も早く陳腐化したプログレバンドだと思う。

エマーソン・レイク・アンド・パーマーELP

MOOGの音色にプログレッシブを感じたのは今は昔、80年代にはその音色に古さを感じた(今は一周まわって斬新なサウンドということになるのかな?)。

音楽的な胡散臭さもある。
グールドの演奏するバッハは称賛されるが、ベートーヴェン「田園」のピアノバージョンはどうだ?
テクニックのひけらかしにしか見えないホロビッツの「カルメン」は?
カルメン」はまだしも、減衰系の音で構成されるピアノの世界で「田園」は相当無理があると思う。
成功例は、オーケストラの魔術師・ラヴェルの編曲群位なものだ。   

展覧会の絵 デラックス・エディション

展覧会の絵 デラックス・エディション

 

展覧会の絵胡散臭さの二乗ってことになる。
元はピアノ曲。それをオケに書き換えたラヴェル版。それも下敷きにしつつ、ロックを試みたELP版。
走り気味で疾走感のあるカール・パーマーのドラム、堅実なベースと共に伸びやかな美声も誇らしいグレッグ・レイク、本線は元よりインプロビゼーションの創造性にその才能の高さを示すキース・エマーソン

たまにどうしても聴きたくなる名盤だ。後にスタジオ版を作ってしまったのは蛇足で、このライブ盤のみで『展覧会の絵』は完結している。  

Love Beach

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  • アーティスト: Lake & Palmer Emerson,Emerson Lake & Palmer,Emerson Lake Palmer
  • 出版社/メーカー: Imports
  • 発売日: 2017/06/02
  • メディア: CD
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ELPではラヴ・ビーチが感慨深い。当時、もうプログレはオールド・ウェーブ扱いで、“やっつけ仕事”でジャケ写も能天気、トホホ感が強かった。ただし、聴いてみると中身は素晴らしく、「将校と紳士の回顧録」は、堂々とした老兵の黄昏といった趣きに感動し、ああ終わりなのか・・・と泣けた(イントロ部はショパンだった)。

その後、幾多の変遷を重ねて、復活を遂げるが往時の勢いは取り戻すべくもなく・・・それでもキースがステージにいる、それだけで良かった。

2012年、NHK大河ドラマ平清盛』で吉松隆編曲によるタルカス(1971年)オーケストラ・バージョンが流れて驚いた。
クラシック、ジャズをロックに融合したELPの代表作が、今度はクラシック畑に返り咲いた。

2013年3月20日吉松 隆 還暦コンサート≪鳥の響展≫でキースは吉松氏のためにステージに上がり、タルカスを弾きつつ誕生日を祝った。その場に立ち会えたことを感謝しつつ、それがキース・エマーソンを見た最後になってしまったことが残念で仕方がない。

キースがそこにいる、それだけで良かったのに・・・。

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このグランドピアノを弾いた姿を忘れない