120rpm

ミル、キク、モノ、コト

インスタント沼 - おおらかな心の持ち主求む -

生久美子を思いっきり楽しむ映画。ファンならお宝だし、そうでない方はファンになること請け合いだ。

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インスタント沼(2009)

亀は意外と速く泳ぐ「転々」三木聡監督が、「時効警察」の麻生久美子を主演に迎えて贈る奇想天外ハートウォーミング・コメディ。不運続きで人生下り坂のダメダメヒロインが、実の父親という奇妙な骨董屋と出会ったのをきっかけに新たな世界を見出していく予測不能の幸せ探しの旅路を、小ネタを織り交ぜシュールかつハートフルに綴る。共演は風間杜夫加瀬亮松坂慶子

担当していた雑誌が廃刊になり、退職することになったOL、沈丁花ハナメ。男にもフラれ、人生ドロ沼状態の彼女は、ひょんなことから自分の全く知らない実の父親の存在を知ることに。真偽を確かめるため、その男のもとを訪ねたハナメだったが、そこにいたのは“電球”と名乗るあまりにも残念な風貌の骨董屋のオヤジだった。追い打ちを掛けるように、店に出入りするパンクロッカーのガスに2人の顔が似ていると言われ、ますますヘコむハナメ。それでも電球の不思議なアドバイスでちょっとだけ光が差し込んできたハナメは、いつしか骨董の魅力にハマり出すのだが…。allcinema

すべる。すべりまくるギャグが良い。ここで腹を立てる人がいたなら、“小さい!小さいなあ!”と思って友だちにはならない。錆びた釘を愛でる心のおおらかさを持ちましょう。

風間杜夫(電球)の額の広さの違和感。ラストに、以前の職場関係で気に入っていた男性を偶然見かけて、“河童頭”になっている禿つながり。
いやー、ここで怒ってはいけない、禿だけにすべりまくりが気持ち良い。

人と人との距離感の描き方にほっこりさせられる。
自分の本当の父であろう“電球”と呼ばれる男への嫌悪感から親近感を抱くまでのしぐさや言葉使い。加瀬亮(ガス)との距離の詰め方にいとしさを感じてしまう。

奇想天外というにはあまりに稚拙なストーリーと思えなくもないが、例えば『茶の味』を面白いと思う感性の方なら観ても損はしないはず。