まいきゃっと - 世界一切ない旅館 -
どんなに懐いてきても、明日には、いやほんの数分先には覚えてはいないのだろう。
想いが残らないことの切なさたるや・・・、連れて帰りたい衝動を満たすことは許されず、切ない気持ちだけが残る。
ペットロス状態だ。幸村ロスなのだ。
猫と泊まれる旅館がある。
湯河原まいきゃっと
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チェックインの受付を済ませ、手を消毒。
この旅館は、トライアルといって、一晩ねこちゃんと一緒に過ごすことが出来る。
ねこちゃんを選ぶために猫カフェへ・・・猫密度の高!
座るとすぐに懐いてきたコが、盲目のひめちゃん。
しばらくして、妻の方へ促すと、彼女の膝に乗っていって下りようとしない。妻もそれを可愛がっていた。
自分のすぐ後ろにいて、視界にチラチラ入る子猫がいる。
慣れたころには、股の間に陣取っている。
生後4か月の幸村くん。このコと相性の良いのはどの猫なのだろう?
同じ部屋で一緒にいるのだから、そんなに相性が悪いとかないんじゃないの?と言うと、スタッフのお姉さんに全力で否定されたw
人と同じだね。お姉さんのご推薦から絞り込むことにした。
残念ながら、先程のひめちゃんと子猫の組み合わせはお勧めできないという事で、ひめちゃんは諦めた。もしかしたら、妻はひめちゃんが良かったのかな?
手前のコが海(カイ)くん
特に理由はない。幸村くんとよく一緒に遊んでいるというので生後1年の海(カイ)くんに決めた。
幸村くんは人が好き。というか、ここの猫たちは大事にされているのでしょう、人を警戒することが全くなく、人懐っこい。
海くんは、自分には懐かなかったが、妻とはおもちゃで遊んでいた。急にスイッチが入るところが可笑しかった。
部屋中を走り回り、転げまわる。二匹とも元気にじゃれあっているけれど、爪も牙も出さない。仲良くじゃれてるだけ。
消灯したら、更にヒートアップして運動会スタート。
こちらも寝るどころではないw
しばらくして疲れたのか、海くん、幸村くん、それぞれにお気に入りの場所を見つけて寝息をたてる。
寝相が悪いね、幸村くんは・・・と薄明かりの中で微かに見える。
ふっと立ち上がり、自分の枕もとの上に来てゴロリ。すぐに立ち上がり、自分の鼻先をかすめるように移動すると、すぐ脇に添い寝をした。 iga-120rpm.hatenablog.com
飼い猫の太郎がそうだった。布団に入ってきて、添い寝をして、顔だけ出していた。
添い寝をしてくれる幸村くんは太郎の匂いがした。
あまりの懐かしさに嗚咽がこみ上げる。
一時間もそうしていただろうか。ウトウトしては寝相の悪い幸村くんに起こされた。
するりとこの手をすり抜けると、となりの妻の脇に移動して毛づくろいを始めた。
そんな姿がぼんやりと見える。
寝返りを打った妻はその感触で猫に気付く。寒かろうと布団をかけていた。
ほとんど寝られないまま、朝を迎えた。
幸村くんは、妻の足元近くで眠っていた。
そういえば、海くんは?
あーあ、よく寝た!といった風情で、伸びをして現れた。で、トイレ。
下の世話も含め、飼い主体験が出来るのがコンセプト。そりゃ臭いよ。臭いけれども、太郎の下の世話をするのも自分だったから、全てが皆懐かしい。
お腹が空いたのかな・・・ニャーニャー鳴いて早く帰してと言い始める海くんが切ない。キャリーケースに入れて、さよならをした。
また、会いたい。
そう強く思ってしまうが、このコたちは忘れているのだ。また行きたいけど、行ったとしても、あの時の幸村くんはいないのだ・・・。
参ったよ。