脚を内股にし、頭を曲げるという振り付け - 自作自演 - ストラヴィンスキー、ラフマニノフ
解釈は自由だが、本人の演奏を基準にするのもありだと思う。
語弊を覚悟で言えば、当事者の演奏、次いで同郷の演奏と、根底の部分で通じ合う演奏をまずは楽しみたい。
ウィンナ・ワルツはウィーンっ子でなければとか、バルトークの演奏はコチシュやショルティだよね・・・などなど、とても危険な考えでもあるけれど、取っ掛かりとしては全然ありだ。
録音が古く聴きづらいが、突き抜けるような立ちの良い音はラフマニノフの特徴ではないだろうか?
協奏曲3番などは、ロマンティックではない高速演奏のラフマニノフ。
ひたすら甘ったるい演奏が多すぎて敬遠している協奏曲3番が、本人の演奏だと面白すぎて何度も聴きたくなる。
春の祭典
荒々しい響きとは裏腹に精緻なスコアを、ストラヴィンスキーの指揮は肩透かしを食わすようなさっぱり具合でこなしていく、それが何ともキュートで新鮮だ。
Stravinsky & the Ballets Russes / [Blu-ray] [Import]
- 出版社/メーカー: Bel Air Classiques
- 発売日: 2009/04/27
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自作自演からは離れるが、バレー音楽なので映像版のお気に入りを・・・。
フォーキン振付「火の鳥」、ニジンスキー振付「春の祭典」、共に初演時の振付なのが見どころ。
特に「春の祭典」はベジャール版がセンセーショナルで有名なんだろうが、違和感と異様さで“音楽だけでなく、振付もイってるから初演時の騒動もさもありなん”と感じさせるニジンスキー版に軍配が上がる。
ニジンスキーはこの曲で、19世紀のクラシック・バレエでは考えられなかった、脚を内股にし、頭を曲げるという振り付けを行った。初演時の騒乱は有名であるが、これは、まさに20世紀バレエの幕開けであった。
「魔笛」比べ
オペラは、オケ、ソリスト、指揮者、舞台装置、演出と判断要素が多く、これ!という決定版が選びづらい。
夜の女王メインで選んでみる。
- アーティスト: ショルティ(サー・ゲオルグ),ウィーン国立歌劇場合唱団,ドイテコム(クリスティーナ),ローレンガー(ピラール),パロウズ(スチュアート),プライ(ヘルマン),ホルム(レナーテ),モーツァルト,バラチュ(ノルベルト),ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
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バリトン歌手ヘルマン・プライの伸びやかで明るいパパゲーノや、現在においても少しも色褪せない圧倒的なテクニックを披露するソプラノ歌手クリスティーナ・ドイテコムの夜の女王等々、≪魔笛≫の録音を語る上で外せない名盤。
ドイテコムの完全無比の歌唱に度肝を抜かれる。
他の配役にも傷が少なく、音で聴く「魔笛」はこれが最高。
バトルのパミーナ、アライサのタミーノほか、豪華な歌手陣を揃え、モーツァルトの没後200年を記念したメトロポリタン歌劇場における新演出上演のライヴ。
メトの「魔笛」。
レヴァインの手馴れた指揮で安心して聴ける。
夜の女王は弱いが、キャスリーン・バトル(パミーナ)の愛らしさと安定のアライサ(タミーノ)が見どころ。
ゴージャスな舞台装置が如何にもメトロポリタン。
- アーティスト: モル(クルト),アライサ(フランシスコ),ローテリング(ヤン=ヘンドリック),グルベローヴァ(エディタ),バイエルン国立歌劇場合唱団
- 出版社/メーカー: マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
- 発売日: 1999/12/22
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1983年ミュンヘンにて行われた、ボルフガング・サバリッシュ指揮による歌劇「魔笛」を収録した映像作品。ウォルフガング・サバリッシュ、クルト・モルほか出演。
サヴァリッシュの出しゃばらない指揮ぶり。
ルチア・ポップ(パミーナ)、エディタ・グルベローヴァ(夜の女王)、フランシスコ・アライサ(タミーノ)とこれ以上を望んではいけないレベルの豪華さ。
観るならこれ!と思っていた・・・。
Mozart: Die Zauberflote (The Magic Flute) [Blu-ray] [Import]
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- 発売日: 2008/03/03
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この新演出は舞台装置が簡素な分、“芝居”が求められる。
ディアナ・ダムラウ(夜の女王)は、細やかな歌唱の変化だけでなく、迫真の演技が素晴らしすぎる!
演技という点では、カーテンコールでもひときは大きな拍手をもらっていたキーンリーサイド(パパゲーノ)は秀逸。
Blu-rayで映像も美しく、音も良い。
普段なら埋没する楽器音が個性を出していて、ミキシングにもこだわりを感じる。
“古風な舞台演出でなければ嫌”とのこだわりがなければ、この1枚で止めを刺す。
体重:81.90kg
音楽史を読む
クラシック音楽の道しるべとして愛読してきた。
LP自体が一般的ではなくなってしまった現在でも、そこに掲げられたアルバムは名盤の誉れ高きものも多く、新録で良いものが出ても、すぐにこの本で紹介されたアルバムに戻ってきてしまうアヒルの刷り込み状態。
文化・思想・宗教に従属していた音楽が独自の飛翔をしていくバロック以降のダイナミズムを、聴き馴染みのある曲紹介を絡めながらの熱い語りに吸い込まれていく。
今でも、この本を指針にしてクラシック音楽を聴いていこうという層が一定数いると思う。
『名曲三〇〇選―吉田秀和コレクション (ちくま文庫)』として復刻しているが、CD化されたLPも多いので、注釈に加えて欲しかった。
西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)
グレゴリオ聖歌~バロックまでの時代で、何ともモヤモヤしてしまうのは、当時の真の姿(音)を表現することが出来ているのかという事。
クラシック音楽とは?世俗音楽との差は?
芸術としての音楽とは?
楽譜として設計された音楽
設計=構成されるコンポジションとしての音楽
明確な答えに膝を叩いた。
この説明だけで読んだ価値があったと思った。
音楽を望んだ対象(教会・為政者・大衆などなど)の変化が、音楽を変容させ、ついには芸術音楽の終焉に近づいていく様を平明な文章で分かりやすく綴り、説得力がある。
西洋音楽史 (河出文庫)
「形式」と「変容」をキーワードに書かれた音楽史。
書かれた時期が1920年代と古いが、年表的な羅列ではなく、音楽の“何故?”に答えていると思う。
その後の現代音楽の“終焉”を知らないことの幸福を感じる。
ニーべルングの指輪
以前は、ロック最高!と思うと、クラシックやジャズなど他のジャンルのCDを全て売り払うなんてことをしていた。
逆もあって、やっぱりクラシックよね・・・と思うと・・・。
見事に無駄な浪費を繰り返すわけだが、やってしまったことは仕方ない。
CDなんて余程の珍盤でもなければ高く売れるわけもなく、売却の手間が億劫で、それが幸いして、今現在は、各分野のCDがまばらに揃っている感じだ。
“リング”が聴きたいなと思い、ショルティ盤はどこだ?と探すが見つからない。
まさか売ったのか?
そうだ・・・オペラは観るもので聴くものではないという考えに取りつかれ、全て売却した・・・そんな微かな記憶がある。
amazonで安くなって売っていることにモヤモヤしつつも、再度購入。 昔買った時とはパッケージも違うけど、中身は問題なし。
Wagner: Der Ring Des Nibelungen:Boulez [DVD] [Import]
映像では、LDで予約して買い揃えたシェロー&ブーレーズ盤が懐かしい。
当時、舞台設定を産業革命の時代に置き換えた演出に驚いたが、ストーリーの必然性を感じさせる緻密な演出にグイグイとのめり込んで観た。
今も、DVDでたまに観るが、色褪せない。Blu-rayにならないかな・・・。
持っているのは海外盤なので日本語字幕ではなく英語字幕。
ドイツ語のリズムと合っているので、違和感なく観れます。
拙い英語力で太刀打ちできない時は、対訳本をパラパラめくれば大丈夫。
ワーグナー ニーベルングの指環〈上〉序夜『ラインの黄金』・第1日『ヴァルキューレ』 (オペラ対訳ライブラリー)
ワーグナー ニーベルングの指環(下)第2日『ジークフリート』・第3日『神々の黄昏』 オペラ対訳ライブラリー
あるいは、こんな対訳サイトもあるので参考にしている。
こちらに十分な気力がないとなかなか最後までたどり着けない大作という点で、ワーグナー『ニーべルングの指輪』と手塚治虫『火の鳥』は似ている。
今回は最後までたどり着けるかな・・・。
スターバト・マーテル
ペルゴレージのスターバト・マーテルは、近代的なオケと歌唱法で語られるこってりしたものではなく、素朴な味わいのものが良い。
かと言って、学術的堅苦しさのあるガチガチの古楽でもいただけない。
昔、池袋のWAVEでクラシックCDを買い漁っていたある時、店内で流れていたスターバト・マーテルが美しく、店員に聞いてそのCDを買った。
後に、そのCDを売却してしまい、“はて?また聞きたいけど、誰だったんだろう・・・なんとなく、黒っぽいジャケットだった記憶があるんだが・・・”となってしまった。
いやはや。。。出るわ出るわ。 550件! CDだけでも309件。
だが、年代でも絞り込めるのが良い。 たぶん、これなんじゃなかろうか・・。
amazonで中古が出ていたので、購入してみたが、のようにも思うし明らかに違う個所もある。
こちらの方がしっくりくるか・・・若い頃とは、耳も心の清らかさ(笑)も違っているから、当時の感動はもう味わえないってことかな。
いつかひょんなことから、見つけた!って時が来ることを楽しみにしよう。