田舎そばかさい

このCMに出てくる立ち食いそば屋こそ、田舎そばかさいだ。

かれこれ、20年、ちょいちょい通っている。
午後からやってくる店主はなかなか面白いのだ。
人によっては不愉快だと思うかもしれない。

4人掛け（立ってるけどw）なので詰めてください。
（お札を出すと）飛ぶから持っててください。
（すぐに注文をしようとする人に）順番に伺っています。
（ぶっきらぼうな物言いの注文には）で、そば？うどん？
（夏場だと）冷やし？ない。

などなど、身のこなしもキレッキレだが、物言いも切れ気味だ。
悪口ではない。そこが自分は好きなところなのだ。

いつも同じ注文をするからか、最近では、オーダーをすることもない。
ちょっと待っていると、目の前にかき揚げそばが来る。

立川談笑師匠がまくらでいじっている中野の立ち食いそば屋がここだ。
その太麺を揶揄していたけれど、師匠も大のお気に入りなんだろう。

おろし生姜を備え付けの匙で2杯。
七味をかけて召し上がれ。

ここのそばは、日本一、いや世界一、宇宙一旨いと思っている。

店先には、写真を撮るなら店主に断れと書かれている。
ぜひ、写真を撮ってみようと思うのだが、勇気がない。
何も言わなくてもそばが出てくる今の店主との関係が壊れてしまいそうで。

2年後に定年を迎える。
ここに通ってくることがなくなる日に、写真を撮らせてもらおうかと思う。

汁も残さず。出された一杯のコップの水を飲み干す。

“ごちそうさま”の言葉に食い気味な店主の“ありがとうございます”が聞こえる。

120rpm