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ミル、キク、モノ、コト

東宝特撮映画の世界 - 1950年代(ゴジラ映画) -

ゴジラ
1954年度作品
●監督:本多猪四郎
●製作:田中友幸
●原作:香山滋
●脚色:村田武雄/本多猪四郎
●撮影:玉井正夫
●音楽:伊福部昭
●美術:中古智
●録音:下永尚
●特殊技術:円谷英二/向山宏/岸田九一郎/渡辺明
●照明:石井長四郎
●出演:志村喬(山根恭平)/河内桃子(娘恵美子)/宝田明(尾形秀人)/平田昭彦(芹沢大助)/堺左千夫(萩原)

日本が世界に誇る不滅の大怪獣!
特撮史上に残る永遠の名作! 

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爆実験が続けられている太平洋上、相次いで起こった原因不明の沈没事件。 さらに暴風雨の夜、大戸島を謎の巨大生物が襲った。 壊滅状態の島を訪れた調査団の前に姿を現したのは、身長50m、体重2万トンの生物。 口から放射火炎を吐く大怪獣ゴジラだった。 やがてゴジラは海を移動、東京に上陸した…。

日本のSF映画の原点であり、かつ特撮怪獣映画という新たなジャンルを切り開いた記念碑的作品。円谷英二ならではの高度な特殊技術と、本多猪四郎のリアリズム溢れるドラマ部分が見事に融合。突然変異によって蘇った大怪獣が東京に上陸、破壊の限りを尽くすというショッキングなストーリーを生み出しました。核の恐怖、科学文明のもろさといったテーマとともに、今なお色褪せない特撮映画の最高峰と言える作品です。


古生物学の権威、山根博士(志村喬)に、ゴジラを200万年前の生物の末裔(生き残り?)であると発言させたところにこの映画の真意を見る。ジュラ紀を200万年前と表現したことを過りとすることは、原作者香山滋が生物学に精通していた事実からありえない。200万年前とは、アウストラロピテクスが現れた時期と一致し(少なくとも当時の研究では)、ゴジラ=人類との寓意が見て取れる。
ゴジラ自身の造形も原水爆へのメタファーであり、大きな誤り(人類が原水爆を手に入れたこと)が、築き上げてきた文明、最後には人類そのものをも消し去ることになりかねないのだとの痛烈な批判精神が全編にみなぎっている。
生物学の立場、科学の立場、国防の立場、男、女、生、死・・・それぞれを的確に表現して進む本編では、香山滋の原作台本が優れていることはもちろんだが、本多猪四郎の演出が秀逸。
また、後に多用される引きでの映像は撮影所の制限からまだ使われてはいないが、特撮の簡潔なカット割りは、円谷英二の才能なくしては成しえない。
主人公たちが高みの見物ときめこむ後の怪獣プロレス映画とは異なり、ゴジラが都市を蹂躙する場面では、群像の中に主人公たちも埋没し、記録映画(あるいは実況放送)のおもむきで突き進む本多・円谷コンビの演出がすばらしい。
ゴジラにしろ、主人公たち(人類)にしろ、はかなく悲しく、痛々しい。

 

ゴジラの逆襲
1955年度作品
●監督:小田基義
●製作:田中友幸
●原作:香山滋
●脚本:村田武雄/日高繁明
●撮影:遠藤精一
●特殊技術:渡辺昭/向山宏/城田正雄
特技監督円谷英二
●音楽:佐藤勝
●美術:北猛夫/安倍輝明
●録音:宮崎正信
●出演:小泉博(月岡正一)/若山セツ子(山路秀美)/笠間雪雄(山路耕平)/千秋実(小林弘治)/木匠マユリ(井上やす子)

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世界的大ヒットを記録した、不滅の『ゴジラ』の続編として翌年1955年に公開。ゴジラに対抗する怪獣として暴竜アンギラスが登場。東宝怪獣映画史上初の怪獣同士の“死闘”という設定が大反響を呼び、以後のゴジラ映画の方向性を決定づけた。前作では東京を火の海にしたゴジラが今回は大阪に上陸。中盤のクライマックス、アンギラスとの決戦では1ヶ月をかけて精巧に作られた、高さ2mの大阪城をド迫力で破壊。ラストシーンの雪崩れに埋まるゴジラの撮影には数トンの氷が使われ、大きな効果を上げている。また、本作に登場するアンギラスは後のゴジラシリーズでは、ゴジラのパートナーとして活躍しているのも見逃せない。


前作とは打って変わって、巨大怪獣の暴れ回る様を前面に押し出した演出。
製作期間が短かったためか怪獣同士の戦闘が充分描ききれなかった点、また大坂城が崩れさる等のスペクタクルシーンが夜の為に見辛い点など瑕疵はあるものの、生き物としての躍動感は見事で、ことにアンギラスの動きはすばらしい。オキシジェンデストロイヤーがなくて如何にゴジラを撃退するか、という課題の解決に人々の前向きな姿と創意が感じられる。

個人的にはテレビで初めて正月に見た記憶が鮮烈で、いとことのチャンネル争いの末(彼は五木ひろしは見たかった・・・)ゴジラが氷の中に埋もれるシーンだけしか見れなかったが、すらりとしたモノクロゴジラ(白黒テレビだったのでカラーだとしてもモノクロだけれど)が脳裏に焼きついている。格好はけっこう好きなゴジラ。