120rpm

ミル、キク、モノ、コト

遠雷 - ようこそここへ クック クック -

かに依存していくこと。

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遠雷(1981)

立松和平の同名小説をロマンポルノ出身の根岸吉太郎監督が映画化。都市化の波が押し寄せる東京近郊の農村地帯を舞台にトマト栽培をする青年の姿を土着的なタッチでエネルギッシュに描いたドラマ。栃木県宇都宮。僅かな土地にしがみついてトマト栽培をしている青年・満夫。先祖代々の土地を売り、豪華な家を建てた父は、家を出てバーの女と同棲している。兄も百姓を嫌い東京でサラリーマンをしている。そんな満夫にお見合いの話が舞い込んできた……。allcinema

こまでも父親中心の家族関係。
結婚式の場で、その盛大さに“ムラ”が帰ってきたと喜ぶ親戚縁者。
それでも、それにしがみついて(というほど義務感はないが)いく若者。

どこに依存して生きていくのか。

主人公が永島敏行だという事だけでなく、“生きがい”を考える時、いつも『サード』と対で観てしまう。

そもそも少年院に入ってしまう原因のひとつは、“大きな町に行こう”(この町を出ていこう)だったし、少年院を出たら“9月の町”を目指すサード。
『遠雷』では、新興住宅地(団地)の脇でハウス栽培を営む若者・満夫。
ハウスの土地を買い上げたい不動産屋を追い返す姿や、友人で殺人を犯した広次(ジョニー大倉)の長台詞の最後に“稲刈り、頼んだぜや”。土地(地元)への執着・・・。

唐突な場面転換と省略に時代の空気がしみ込んでいて、特に、広次(ジョニー大倉)の長台詞から「わたしの青い鳥 」を唄う場面で、いつも泣いてしまいます。

とても極端で大袈裟な演出とは思えない。
土着的という意味では、自分が育った福島・喜多方も似たようなものだから。

この先、福島に帰るのか?と問われれば、“9月の町”を選ぶかな。


桜田淳子 わたしの青い鳥

 

遠雷 [Blu-ray]

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