プログレ話(3) - エマーソン・レイク・アンド・パーマー -
最も早く陳腐化したプログレバンドだと思う。
MOOGの音色にプログレッシブを感じたのは今は昔、80年代にはその音色に古さを感じた(今は一周まわって斬新なサウンドということになるのかな?)。
音楽的な胡散臭さもある。
グールドの演奏するバッハは称賛されるが、ベートーヴェン「田園」のピアノバージョンはどうだ?
テクニックのひけらかしにしか見えないホロビッツの「カルメン」は?
「カルメン」はまだしも、減衰系の音で構成されるピアノの世界で「田園」は相当無理があると思う。
成功例は、オーケストラの魔術師・ラヴェルの編曲群位なものだ。
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『展覧会の絵』は胡散臭さの二乗ってことになる。
元はピアノ曲。それをオケに書き換えたラヴェル版。それも下敷きにしつつ、ロックを試みたELP版。
走り気味で疾走感のあるカール・パーマーのドラム、堅実なベースと共に伸びやかな美声も誇らしいグレッグ・レイク、本線は元よりインプロビゼーションの創造性にその才能の高さを示すキース・エマーソン。
たまにどうしても聴きたくなる名盤だ。後にスタジオ版を作ってしまったのは蛇足で、このライブ盤のみで『展覧会の絵』は完結している。
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ELPでは『ラヴ・ビーチ』が感慨深い。当時、もうプログレはオールド・ウェーブ扱いで、“やっつけ仕事”でジャケ写も能天気、トホホ感が強かった。ただし、聴いてみると中身は素晴らしく、「将校と紳士の回顧録」は、堂々とした老兵の黄昏といった趣きに感動し、ああ終わりなのか・・・と泣けた(イントロ部はショパンだった)。
その後、幾多の変遷を重ねて、復活を遂げるが往時の勢いは取り戻すべくもなく・・・それでもキースがステージにいる、それだけで良かった。
2012年、NHKの大河ドラマ『平清盛』で吉松隆編曲による『タルカス』(1971年)オーケストラ・バージョンが流れて驚いた。
クラシック、ジャズをロックに融合したELPの代表作が、今度はクラシック畑に返り咲いた。
2013年3月20日、【吉松 隆 還暦コンサート≪鳥の響展≫】でキースは吉松氏のためにステージに上がり、タルカスを弾きつつ誕生日を祝った。その場に立ち会えたことを感謝しつつ、それがキース・エマーソンを見た最後になってしまったことが残念で仕方がない。
キースがそこにいる、それだけで良かったのに・・・。
このグランドピアノを弾いた姿を忘れない