120rpm

ミル、キク、モノ、コト

青春の殺人者 - 破壊的な、そして破戒的な -

谷豊の眼が嫌い。人を蔑むような眼。ヘタレな眼。負け犬の眼。

f:id:iga-120rpm:20190215195124j:plain

青春の殺人者(1976)

実際の事件をもとに描かれた中上健次の短編小説を映画化した長谷川和彦の監督デビュー作。不確かな理由で両親を殺害してしまった青年の破滅への道を冷徹なまなざしで描いた衝撃作。厳格な両親のもと、溺愛されて育った22歳の青年、斉木順。親に与えられたスナックの経営を始めるが、ある日、両親にスナックで手伝いをしている幼なじみのケイ子と別れるよう迫られる。口論の末、父親を殺してしまい、さらには行き違いから母親までも刺し殺してしまう……。オリジナル版は132分。allcinema

そういう眼を芝居できる水谷豊の名演が光る。

原田美枝子は、しゃがれ声で水谷豊を呼ぶ。とにかく苛立ち耳につく。
アフレコかな。若さゆえの痛ましさ。

ゲリラ撮影を面白がる気にはなれない。
太陽を盗んだ男』の方が、どこか刹那的だがあっけらかんとした清々しさがあって救われる。

こちらはとことんダークだ。前半の親殺しの描写など目を背けたくなる惨状だ。若い頃に見た記憶の中でも、息子に甘い母親の描写、その母を疎ましく思い殺害する・・・までが鮮明で、それ以降がぼやけていた。

改めて観なおしてみる。

殺害まではほんとに前半なんだね。おぞましい・・・破壊力がありすぎる・・・。

当時、若さ故に共感できた部分がたぶんあったのだろうけど、今は刺々しいばかりで響いてこなくなっていた。

映画そのもののレヴューとしてとても素敵な記事があったので紹介します。

casinoroyale.hatenablog.com

これが歳を取るということか・・・それもまた人生。
牛の様に想い出を反芻することで生まれる何かがあるはず。
そう思っていられるだけの気概は持ち続けたい。

 

青春の殺人者 [Blu-ray]

青春の殺人者 [Blu-ray]