120rpm

ミル、キク、モノ、コト

クラシック音楽へのこだわり

ラシック音楽はこだわりがないと切りがない。

何を言っているのかというと、同じ曲でも多くの演奏家によって録音されているからどれを聴けばよいのか訳が分からない。

そんな時はこうしようと自分で決めたことがある。

音楽に訛りがあるのだとすれば、その訛りが分かるのは同郷の人なんじゃないか。
同郷は狭すぎるので、せめて同国、同言語圏の人。

ドイツ音楽ならドイツ人、フランス音楽ならフランス人、イタリア音楽ならイタリア人。
ベートーヴェンフルトヴェングラーカラヤンドビュッシーならアンセルメ(スイス人だがフランス語圏)、ヴェルディプッチーニなら・・・といった具合に。

もう一つ。それほど多くはないけれど、作曲家自身の自作自演はチェック。
お気に入りは、ストラヴィンスキーラフマニノフの自作自演。ラフマニノフの硬質でメカニカルなタッチはよく耳にする軟派な演奏とは本家は全く違うのだと分かって面白い。  

blog.igaclassic.com

Igor Stravinsky - The Complete Columbia Album Collection

Igor Stravinsky - The Complete Columbia Album Collection

  • アーティスト:Igor Stravinsky
  • 出版社/メーカー: Sony Classical
  • 発売日: 2015/10/09
  • メディア: CD
ラフマニノフ自作自演~ピアノ協奏曲全集

ラフマニノフ自作自演~ピアノ協奏曲全集

 

最近のお気に入りは、エリオット・ガーディナーだ。 

今の理屈でいくと、ガーディナーはイギリス人なのでイギリス音楽・・・。大英帝国さんはビートルズなどロックが世界を席巻するまで音楽後進国だったんじゃないかと思う。

パーセルヘンデルブリテンホルスト・・・段々小者になってく気が(失礼)・・・といった具合に不作だ(ヘンデルってドイツから帰化してるし)。

なので、エリオット・ガーディナーという指揮者は自分の中では対象外だったのだ。

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最近、ベートーヴェン交響曲全集を聴いて驚いた。
彼によって設立された古楽器オーケストラ【オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック】による演奏。

こだわるべきなのか避けていたものが、ここでもう一つ。
作曲された時代に関するこだわり。

大河ドラマを見ていて出てくる馬は当時の馬とは全く異なる。当時、サラブレッドはいない。

そういったものに似て、作曲された時に存在しなかった楽器で演奏されているのが現代オーケストラの演奏だ。
楽器も違えば、奏法の異なるし、その楽器群の位置も異なるのだ。もっと言えば、ピッチすら違う。

作曲者の意思を尊重するなら、そこまでこだわって・・・ここでちょっとしたトラウマがある。
アーノンクールやホグウッドあたりでバロックを聴いて、つまらなくて涙が出た記憶が・・・その反動で聴きまくったグールドのピアノの楽しかったことと言ったら(バッハの時代にピアノはない)。

そんな風に何十年も避けていた古楽器オーケストラだったが、ガーディナーは違った。
音色は明らかに現代オーケストラとは違うけれど、埋没していた音が細やかに蘇り、ベートーヴェンの意思がそこに息づいていた(ように感じた)。今まで流して聴いていた箇所にこそ面白みが隠されていて、再発見の喜びでヘビーローテーション状態だ。この軽やかさは癖になる。

食わず嫌いを後悔しつつも、今、新しい楽しみを与えてくれたエリオット・ガーディナーに感謝、感謝。

最初にクラシック音楽はこだわりがないと切りがないと書いたけれど、こだわりだしたら切りがないのかなとも思う。すごい沼が広がっているからね。

Complete Beethoven -Box-

Complete Beethoven -Box-

  • アーティスト:John Eliot Gardiner
  • 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
  • 発売日: 2019/10/18
  • メディア: CD

マルタ・アルゲリッチ - 情念のピアニスト -

く迷惑な話だ。そんなつもりで弾いちゃいないとは思う。
それでも彼女のピアノを聴くと心拍数が確実に上がることは間違いない。

熱い情念を感じてしまうのだ。

アゴーギクやディナーミクに癖があって、自分が若い頃はあまり受け入れられなかった。 どこか純なものへの憧れがあった。

ホロビッツは別格、グールドは別世界。

さて、その他のピアニストはというと・・・グルダベートーヴェンは基準点だと思った。 アシュケナージはその甘ったるさが鼻につき論外。ショパンなら、ルービンシュタインとも思うけれど、熱心には聴かなかった。

殊の外入れ込んだのはポリーニだ。20数年前、来日時に偶然日比谷で見かけたことがあって、“マエストロ!”って声をかけたら、にっこりと笑い返してくれた(何か言ったようだが聞き取れなかった)。カッコ良かったなあ・・・。
彼の一音たりとも逃さない曖昧さを排除した完全無比な演奏に聴き馴染んでしまうと、他のピアニストで同じ曲を聴くと一枚も二枚もオブラートに包んでしまったようで納得できなかった。ポリーニさえ聴ければそれで良いとすら思っていた。

アルゲリッチ
人生は表もあれば裏もある。良いこと悪いこといっぱいあるし、隠したいことだって一つや二つあるでしょ?

情念と言いたくなる絡みつくような熱情は、酸いも甘いも噛み分けるじゃないが、人生の機微を感じてしまう。純なものだけじゃなく雑味も全部ひっくるめて、それが人生。

ピアノ演奏に人生もなにもないのだけれど、アルゲリッチの抑揚のある深い演奏を聴くと、そんな人の生きざまのような混とんを感じてしまうのです。

これはチャイコフスキーじゃないという意見すら出てもおかしくないほど、規格外のチャイコフスキーがこれ。

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番、他

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番、他

カップリングのバレエ組曲くるみ割り人形》作品71aが艶っぽくて最高に美しい。
こういった編曲ものは一段下に見てしまうけれども、この作品はチャイコフスキー本人によるものなので、その音の慎重な割り当てが素晴らしく、ピアノのために書かれた曲なのではと思えるほど。

アルゲリッチならこの1枚。

 

来年3月に来日予定・・・チケット・・・うーん、悩む・・・一目見たい。

『エクソシスト』から広がった世界

代音楽を知ったのも『エクソシスト』だ。

エクソシスト』から広がった音楽の世界は、現代音楽とプログレッシブ・ロック

プログレッシブ・ロック - Wikipedia

映画のエンディングに流れるヘンツェ「弦楽のためのファンタジア」第4楽章には痺れた。

 

エクソシスト/オリジナル・サウンドトラック

エクソシスト/オリジナル・サウンドトラック

 

 

amazonなどではサントラ盤をコケにするレビューばかりだが、映画のサントラ盤ってこういうものじゃないの?映画製作の現場で望んだ音が現代音楽だったのだから、この選曲は真っ当なものだ。

『チューブラー・ベルズ』を聴きたければ、マイク・オールドフィールドのアルバムを聴けば済むことだろう。ただし、「エクソシストのテーマ」と呼ばれてしまう事には強い不快感を感じる。

エクソシスト』に入れ込んでしまって、何から何まで欲しくて仕方がなかった。子どもだから、財力はたかが知れていて買えるものも限られた。

どうやら「エクソシストのテーマ」と呼ばれる美しいリフレインを含む曲は、相当長い曲らしいとの情報をつかむ。
吉祥寺の新星堂(現在、その場所は山野楽器 ロックインになっている→2013年に山野楽器に事業譲渡した)に出向いて、輸入盤を漁った。

ヴァージン・レコードの第一弾として並んでいたそいつを見つけた。そこから、マイク・オールドフィールドにハマっていくが・・・それは後日。当時の輸入盤仕入担当者に感謝だ。ヴァージン・レコード - Wikipedia

原作本は公開前に手に入れ熟読w、ムック本も吟味して、買った。

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左から:パンフレット、スクリーン別冊『恐怖!オカルト映画のすべて』、原作本

当時のものは紛失してしまったが、あるところにはあるんだね。改めて手に入れた。

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映画のプロモーションで来日したリンダ・ブレアの記事

映画では悪魔に取り憑かれる“少女”だったはずなのに、来日した彼女はボインボインのお姉さんだった。やっと毛が生えたばかりの少年はびっくりだw

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こんなところで荒俣宏の名を見つけるとは・・・

これから、11年の月日が経過した1985年。『帝都物語』でブレイクする。

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シナリオが巻末に掲載されていた

ビデオソフトで繰り返し観られるようになる世界はまだ数年先だ。映画をどんなに観たくても、次に拝める機会は、テレビ放映を待つか、2番館、3番館まで追いかけるしかない。『エクソシスト』は15回は劇場で観た。シナリオがあるだけで、それを読みながら映画の場面が鮮やかによみがえる。素晴らしい企画だった。

映画一本観るだけの話だが、今よりも数十倍必死さがあったように思う。 

iga-120rpm.hatenablog.com

といった具合に、一本の映画に入れ込んだのは、後にも先にも『エクソシスト』だけだ。

映画の話は明日にでも・・・(次で終わりますw)

オペラはソリストで観る

ィアナ・ダムラウが良い。

以前、『魔笛』での彼女のすばらしさを書いたことがあった。 

iga-120rpm.hatenablog.com

どや!とばかりに子分を従えてやってくる夜の女王は、その貫禄の演技もさることながら、歌唱の美しさが印象的な名演だった。

マリア・カラス、クリスティーナ・ドイテコム、ルチア・ポップエディタ・グルベローヴァなどなどお気に入りのソプラノ歌手は数あれど、今はディアナ・ダムラウがお気に入りだ。

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Blu-rayやDVDも海外盤なら英語字幕になるが、かなり安く買える。一本2,000円もしない。

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Guseppe Verdi : Rigoletto [DVD] [Import]

正直言って、ジャケ買いだw
何やら淫靡な感じにそそられて買ってしまった。別の公演時にはあったのだろうが、同じ場面は収録されていない(-_-;)

ヴェルディリゴレット
写真の変な被りものをしているのが、道化のリゴレットだ。

乱暴にストーリーを書くとこんな感じだ。

リゴレットは、自分に娘がいることを隠している。
好色な公爵に仕えるリゴレットは、公爵に妻や娘を手籠めにされた男たちを馬鹿にし侮辱している。そんな最低なリゴレットに天罰が下る。
最愛の娘を公爵に手籠めにされてしまうのだ。怒ったリゴレットは公爵殺害を殺し屋に頼む。しかし、殺し屋が手をかけたのは最愛の娘・ジルダだった。

何だかモヤモヤした話だ。
リゴレットは因果応報・・・だが公爵は助かって、また女漁りをするに違いない・・・。良い面の皮が娘のジルダで、殺される意味が分からない(たとえ愛してしまった男・公爵を助けることが出来たとしても)・・・。オペラは、なかなか不思議な芸術で、こんな風に考えだしたら切りがないものが相当多いのだ。

舞台は16世紀・イタリアということだが、かなり現代風にアレンジされている。
主要キャスト以外は異形のモノとして登場していて、こういうのが苦手な人もいるが、なかなか洒落た演出。

ジルダ役のディアナ・ダムラウは、安定した歌唱と思い入れたっぷりの演技で最後の悲劇を際立たせる。

バッハを気取って楽しもう

www.google.com

れは秀逸。

3月21日(ユリウス暦ではということらしい。西暦だと31日なのか?)は、J・S・バッハの誕生日だった。

当日、Googleのガジェット(Doodle)は、自分が作ったフレーズをバッハAI様が“バッハ風”にしてくれるというものだった。

わずか2小節だけれども、MIDIでの出力が出来るから、工夫次第ではそのデータをつなげることで長い曲も出来るかも。
四分の四拍子固定(だよね?)で2小節だから複雑なフレーズは作れない。
ただ、バッハの魅力って単純なフレーズの対位法的変奏にあるので、これはこれで十分。

ロック調に変更したり、調性、テンポも変えられる。
そんな妙なこだわりにクスクス笑いが出てしまう。

しばらく飽きませんよ、これは。