デアボリカ - イタリア版エクソシストって言うな! -
看板に偽りあり。といっても、映画ポスターの方ではなく、円盤の方。
デアボリカ(1974)
人妻ジェシカ(J・ミルズ)は、突然妊娠した。あれほど気をつけてピルを欠かさず用いていたのに、医師ジョーンズ(D・コリン・ジュニア)によれば三ヵ月だという。レコード・ディレクターの夫ロバート(G・ラビア)、いたずら盛りの娘ゲイル(E・ターナー)、息子ケン(N・セグリーニ)の四人暮しの家庭は幸せそのものだった。ようやく赤ん坊を生む気になったが、つわりにしては異常な血を吐いたりして精神状態は最悪だった。そんなある日、古い写真を見ていた彼女は、その中に昔の恋人とうつっている写真を発見して突如兇暴になり夫が大事にしている金魚鉢を打ち砕いてしまう。その頃、ロバートの行く先にも見知らぬ男の視線がつきまとうようになっていた。...映画.com
営業マンの問題なんですかね・・・映画観ていないんじゃないか?というくらいキャッチコピーがおかしいです。
この映画にエクソシストは登場しません。
コピーライターというよりもそれを依頼した側に問題です。
映画に対する真摯さ、愛情、熱意、そういったものの欠片もないのかも知れません。
先日の中野昭慶監督の話の補足。
特撮にNGはないという話。
予算も時間も限られた中で撮影される特撮。NGカットは許されない。後の編集で何とかするしかない・・・。ここで語られたことは、編集で何とかしてくれるよという話ではない。精一杯最善の努力と工夫の中で、なんとかより良い作品にしたいという熱意の先に起きてしまうアクシデントに対する話。みんなの努力を決して無にしない監督の映画愛から出た言葉だと思う。
特撮映画を作っているんじゃない。楽しんでもらえる映画作りの手法の一つに“特撮(トリック)”があるに過ぎない。ドラマがなくてはいけない。
さて、『デアボリカ』である。
音楽は最高で、サントラ盤というより枠組みから離れて、音楽単体で十分価値のある名演だと思う。フランコ・ミカリッツィのスコアは、B級オカルト映画にはもったいないくらい。R&B好きなら聴いて損なし。
この映画の音響は、サーカム・サウンドという今のサラウンドシステムのようなものだった。汎用システム化されていないため、このような一発ものが当時は結構あったような気がする。『大地震』(1974)のセンサラウンド方式とか、飛び出す系の映画たちとか(『 空飛ぶ十字剣』『悪魔のはらわた』赤影もキカイダーも仮面ライダーも飛び出していたw・・・ところで最近、3D映画って下火になってます?)。
劇場で観た時には、画面に合わせて、後ろからも音がするから臨場感もあった。先程の音楽もそうだが、この映画は相当音にこだわっていたのかな?
ストーリーを乱暴に書けば、悪魔と取引した男が、その悪魔を孕んだ女の出産を助けそこねて死んでしまうっていう話。
『ローズマリーの赤ちゃん』のストーリー寄りで、造形的には『エクソシスト』をミックスした感じ。もうちょいひねったら『エンゼル・ハート』のような悪魔とのやり取りが展開していたのにと思うが、陽気なイタリア映画ってことですかね。何とも言えない不思議な魅力がこの映画にはあって、そこはもしかしたらガチに作ってたんじゃないかと思ったりするのです・・・その情熱がわずかばかり作用して、B級ながら記憶にしっかり刻まれているのかも知れません。
CDといい(日本でのみ発売された)、Blu-rayといい、しっかり発売しているところを見ると、日本の観客には爪痕をしっかり残した怪作ってことで、OK?
ちょっとした画面構成なんかも、“あっ、この映画だったのか”ってことが多い。
個人的にはかなりお好みの映画なのです。
悪魔は創造をしない。繰り返すだけだ。
『エクソシスト』から広がった世界
現代音楽を知ったのも『エクソシスト』だ。
『エクソシスト』から広がった音楽の世界は、現代音楽とプログレッシブ・ロック。
映画のエンディングに流れるヘンツェ「弦楽のためのファンタジア」第4楽章には痺れた。
- アーティスト: サントラ,マイク・オールドフィールド
- 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
- 発売日: 1996/08/10
- メディア: CD
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amazonなどではサントラ盤をコケにするレビューばかりだが、映画のサントラ盤ってこういうものじゃないの?映画製作の現場で望んだ音が現代音楽だったのだから、この選曲は真っ当なものだ。
『チューブラー・ベルズ』を聴きたければ、マイク・オールドフィールドのアルバムを聴けば済むことだろう。ただし、「エクソシストのテーマ」と呼ばれてしまう事には強い不快感を感じる。
『エクソシスト』に入れ込んでしまって、何から何まで欲しくて仕方がなかった。子どもだから、財力はたかが知れていて買えるものも限られた。
どうやら「エクソシストのテーマ」と呼ばれる美しいリフレインを含む曲は、相当長い曲らしいとの情報をつかむ。
吉祥寺の新星堂(現在、その場所は山野楽器 ロックインになっている→2013年に山野楽器に事業譲渡した)に出向いて、輸入盤を漁った。
ヴァージン・レコードの第一弾として並んでいたそいつを見つけた。そこから、マイク・オールドフィールドにハマっていくが・・・それは後日。当時の輸入盤仕入担当者に感謝だ。ヴァージン・レコード - Wikipedia
原作本は公開前に手に入れ熟読w、ムック本も吟味して、買った。
左から:パンフレット、スクリーン別冊『恐怖!オカルト映画のすべて』、原作本
当時のものは紛失してしまったが、あるところにはあるんだね。改めて手に入れた。
映画のプロモーションで来日したリンダ・ブレアの記事
映画では悪魔に取り憑かれる“少女”だったはずなのに、来日した彼女はボインボインのお姉さんだった。やっと毛が生えたばかりの少年はびっくりだw
こんなところで荒俣宏の名を見つけるとは・・・
これから、11年の月日が経過した1985年。『帝都物語』でブレイクする。
シナリオが巻末に掲載されていた
ビデオソフトで繰り返し観られるようになる世界はまだ数年先だ。映画をどんなに観たくても、次に拝める機会は、テレビ放映を待つか、2番館、3番館まで追いかけるしかない。『エクソシスト』は15回は劇場で観た。シナリオがあるだけで、それを読みながら映画の場面が鮮やかによみがえる。素晴らしい企画だった。
映画一本観るだけの話だが、今よりも数十倍必死さがあったように思う。
といった具合に、一本の映画に入れ込んだのは、後にも先にも『エクソシスト』だけだ。
映画の話は明日にでも・・・(次で終わりますw)。
スネークマンショー - 急いで口で吸え -
スネークマンショーだ。
横文字だとSnakeman showだが、カタカナ表記でも中黒は入らない。
スネークマンショーだ。
ソニーミュージック内にオフィシャル(なのか?)サイトがある。
::::::::::SnakemanShow::::::::::
時代遅れのFlashを要求するサイトなので要注意だ。天下のソニー様なので、変なことにはならないと思うが自己責任でクリックしよう。
サイトに貼られているリンク先は、切れていたりドメインが売りに出されていたりしてナイスだ。
サイトの幅は760px・・・幅800pxが推奨されていた時代、スクロールバーが表示された場合のマージンを取って760pxで作る・・・実に基本に忠実だ。素晴らしい。
現在、苦労せずに手に入るスネークマンショーのCDは5枚。
左から、
『スネークマン・ショー (急いで口で吸え!)』(1981年)
『死ぬのは嫌だ、恐い。戦争反対! 』(1981年)
『スネークマンショー 海賊盤』(1982年)
『ピテカントロプスの逆襲』(1983年)
これらに加えて、ラジオ番組 「スネークマンショー」のネタを集めた
『スネークマンショー・アンソロジー 』(2004年)
ポール・マッカートニーがウィングスとして来日した1980年。成田で大麻所持のため拘留・強制送還。全公演が中止になった。たしか、日本テレビあたりが、特集番組まで組んで来日をあおっていて、楽しみにしていたのに、全てがおじゃんになった(志ん生ネタを微妙に引っ張ってみた)。
スネークマンショーのファーストアルバムには、そんなポールネタ「はい、菊池です」(大麻所持で逮捕されたポール・マッカートニーが取調室で横柄な警官(菊池)にサインを何枚も頼まれるという寸劇)も入っている。
時代を映す鏡・・・なわけもなく、自分たちが面白いということ好き勝手にやって、メジャーデビューしたらあっという間に空中分解したコントユニットがスネークマンショーだ。
80年代はエロに消極的なヤツはいなかった(少なくとも自分の周りには)。
エロも差別も戦争もドラッグもジョークでぶっ飛ばした。
ブラックジョークとはこういうことだ。
残念ながらスネークマンショーのアルバムがなかった。YMO『増殖』より
音楽の合間に寸劇・ギャグが入るというスタイル。
自分の音楽的嗜好はスネークマンショーで作られたんじゃないか?と思うほど
今聴いてもスッと入ってくる選曲が光る。
エロ度かなり高めなので、みんなで聴くには躊躇してしまうが、懐かしくも色褪せないイケてる音楽とギャグに笑い転げてしまう。
これを繰り返し聴いているのもどうかとは思うけど(-_-;)。
こんばんは、渋谷陽一です
少なくとも、洋楽に関しては、ほとんどが渋谷陽一で出来ている。
80年代って投稿文化だったと思う。
rockin'on
投稿雑誌だった。
ミュージックライフなんてミーハーだよ!
大して詳しくもないのに、評論家気取りで投稿してた。各号をきれいに揃えると背表紙が一枚の写真になってたね(これって毎年じゃなかったな・・・何年だろう・・・)。
ぴあ
“はみだし”に載るために、ネタ探しに必死だった。
ビックリハウス
“ヘンタイよいこ新聞”のお題に投稿し続けた・・・センスなかったなあw
rockin'onの編集長が渋谷陽一だった。
NHK-FM「サウンドストリート」から流れてくる彼の話に夢中だった。
レッド・ツェッペリンはロックの最高峰だ。
クイーンやチープトリックは結構“押し”だったような・・・。ヘビメタはゴミ扱いw
懐かしさで検索してみたら、今もラジオやっているんですね!
ワールドロックナウ - NHK 日曜 午後5時~6時
滑舌はどうなんでだろう。
夕方だから、「こんにちは、渋谷陽一です」って言うのかな?
聴いてみよう。
懐かしのテクノポップ
学生時代に世間を席巻した音楽的ムーブメントは、パンクではなくテクノだった。
今のテクノとは違う。
テクノポップ、当時はこれがテクノだった。
日本なら、YMO、P-MODEL、ヒカシュー、プラスチックス。
海外なら、クラフトワーク、OMD、ウルトラヴォックス、アイスハウス、ニック・カーショウが好きだった。
ポップで時に前衛的な電子音に未来志向を感じていたのかな?
その中で、今も聴くお気に入りはこれ。
YMO『テクノデリック』(1981年)
前作『BGM』と共にアヴァンギャルド路線に舵切りした名作。ピアノ音のゴリゴリした質感が快感。チャートも4位まで行っているというのが、当時の熱狂を物語る。YMO自体が大陸的で、その大陸的なイメージも十分にコマーシャルだった時代。
P-MODEL『Perspective』(1982年)
こちらも前作『POTPOURRI』(1981年)を更に推し進めたP-MODELの極北。歌詞に具体的な意味を求めることが不可能になった。非常に残響の効いた腰の落ちた音使い。
当時は、カセットバージョン『Perspective II』(若干、曲が違った)を愛聴していた。
ウルトラヴォックス『ヴィエナ』(1980年)
テレビCMで、このアルバム収録の「ニュー・ヨーロピアンズ」が流れ、そのギターカッティングにほれ込んでしまった。非常にポップで美しい曲が多いウルトラヴォックスの代表作。
アイスハウス『Icehouse』(1980年)
アルバムジャケットの表記、右 ICEHOUSE がアルバムタイトル、左 FLOWERS がバンド名(後にバンド名をアイスハウスに)。
ウルトラヴォックスにも似た冷ややかな質感の音使い。残念なのは、当時のLPのマスタリングとCDが異なる事。
明らかに音が違う・・・でもこれしかないのだから、ないものねだりは止そう。
こんな初期のムーブメントが後のポップスやテクノで花開く。
TM NETWORK、電気グルーヴ、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅ、・・・ピコ太郎・・・。
ちょっとだけ残念な気がするのは(自分だけかもしれないけど)、政治的発言、ゴシップに左右されすぎてやしまいか。音楽を音楽そのもので楽しんでいたはずなのに・・・とか言い始めると、ウッドストックはどうなんだよ!?ってなことにもなっていくので、深入りは止そう。
今日のBGMはYMO。
- アーティスト: YELLOW MAGIC ORCHESTRA
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
- 発売日: 2003/01/22
- メディア: CD
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Icehouse (30th Anniversary ed)
- アーティスト: Icehouse (Aka Flowers)
- 出版社/メーカー: Universal Import
- 発売日: 2011/06/07
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