120rpm

ミル、キク、モノ、コト

デアボリカ - イタリア版エクソシストって言うな! -

板に偽りあり。といっても、映画ポスターの方ではなく、円盤の方。

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デアボリカ(1974)

人妻ジェシカ(J・ミルズ)は、突然妊娠した。あれほど気をつけてピルを欠かさず用いていたのに、医師ジョーンズ(D・コリン・ジュニア)によれば三ヵ月だという。レコード・ディレクターの夫ロバート(G・ラビア)、いたずら盛りの娘ゲイル(E・ターナー)、息子ケン(N・セグリーニ)の四人暮しの家庭は幸せそのものだった。ようやく赤ん坊を生む気になったが、つわりにしては異常な血を吐いたりして精神状態は最悪だった。そんなある日、古い写真を見ていた彼女は、その中に昔の恋人とうつっている写真を発見して突如兇暴になり夫が大事にしている金魚鉢を打ち砕いてしまう。その頃、ロバートの行く先にも見知らぬ男の視線がつきまとうようになっていた。...映画.com

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営業マンの問題なんですかね・・・映画観ていないんじゃないか?というくらいキャッチコピーがおかしいです。

この映画にエクソシストは登場しません。

コピーライターというよりもそれを依頼した側に問題です。

映画に対する真摯さ、愛情、熱意、そういったものの欠片もないのかも知れません。

先日の中野昭慶監督の話の補足。
特撮にNGはないという話。

予算も時間も限られた中で撮影される特撮。NGカットは許されない。後の編集で何とかするしかない・・・。ここで語られたことは、編集で何とかしてくれるよという話ではない。精一杯最善の努力と工夫の中で、なんとかより良い作品にしたいという熱意の先に起きてしまうアクシデントに対する話。みんなの努力を決して無にしない監督の映画愛から出た言葉だと思う。

特撮映画を作っているんじゃない。楽しんでもらえる映画作りの手法の一つに“特撮(トリック)”があるに過ぎない。ドラマがなくてはいけない。

さて、『デアボリカ』である。

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音楽は最高で、サントラ盤というより枠組みから離れて、音楽単体で十分価値のある名演だと思う。フランコ・ミカリッツィのスコアは、B級オカルト映画にはもったいないくらい。R&B好きなら聴いて損なし。

この映画の音響は、サーカム・サウンドという今のサラウンドシステムのようなものだった。汎用システム化されていないため、このような一発ものが当時は結構あったような気がする。『大地震』(1974)のセンサラウンド方式とか、飛び出す系の映画たちとか(『 空飛ぶ十字剣』『悪魔のはらわた』赤影もキカイダー仮面ライダーも飛び出していたw・・・ところで最近、3D映画って下火になってます?)

劇場で観た時には、画面に合わせて、後ろからも音がするから臨場感もあった。先程の音楽もそうだが、この映画は相当音にこだわっていたのかな?

ストーリーを乱暴に書けば、悪魔と取引した男が、その悪魔を孕んだ女の出産を助けそこねて死んでしまうっていう話。

ローズマリーの赤ちゃん』のストーリー寄りで、造形的には『エクソシスト』をミックスした感じ。もうちょいひねったら『エンゼル・ハート』のような悪魔とのやり取りが展開していたのにと思うが、陽気なイタリア映画ってことですかね。何とも言えない不思議な魅力がこの映画にはあって、そこはもしかしたらガチに作ってたんじゃないかと思ったりするのです・・・その情熱がわずかばかり作用して、B級ながら記憶にしっかり刻まれているのかも知れません。

CDといい(日本でのみ発売された)Blu-rayといい、しっかり発売しているところを見ると、日本の観客には爪痕をしっかり残した怪作ってことで、OK?

ちょっとした画面構成なんかも、“あっ、この映画だったのか”ってことが多い。
個人的にはかなりお好みの映画なのです。

悪魔は創造をしない。繰り返すだけだ。

 

デアボリカ blu-ray

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