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戦国自衛隊1549 - 放蕩息子の無駄遣い -

蕩息子の無駄遣いとはこの映画か・・・。

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戦国自衛隊1549(2005)

陸上自衛隊の人工磁場発生器の実験中に事故が発生、的場一佐(鹿賀丈史)率いる精鋭部隊が460年前の戦国時代にタイムスリップしてしまった。仲間を救いだし、歴史を修正するために的場の元部下で元自衛隊の鹿島(江口洋介)と事故を引き起こしてしまった神崎(鈴木京香)はロメオ隊とともにタイムスリップを敢行するが……。シネマトゥデイ

角川グループ創立60周年記念のお祭り映画としては余りにもお粗末。
東宝系のスタッフ陣で作られた作品だが、東宝の時代活劇といえば、言わずと知れた黒澤作品がある。
この優れた映像作家の作品、とくに活劇系のものを父とするなら、無駄に予算を使った放蕩息子の駄作としか言いようがないのだ。

久しぶり(黒澤監督の『乱』以来)となる大掛かりなオープンセット。
陸自の協力を得た実車の使用。
騎馬500頭、5500人のエキストラ。
制作費15億円。

当然、勇壮な戦国の世の大立ち回りを期待します。

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ストーリーは、自衛隊が戦国時代に行って滅茶苦茶やって帰ってくるお話ですから、理由づけ(多くの何故に答えること)に時間をかけずにおバカな活劇を期待していたのに・・・。

脇を固めた俳優陣(鹿賀丈史伊武雅刀北村一輝)は映えるんですが、主役(江口洋介鈴木京香)がお粗末。
思うに、テレビに毒された役者さんは、寄りには強くても、引きには弱いのでは・・・。

引きの絵で、何を演じているのか分からない。芝居が伝わってこないのです。

音楽は、役者の感情表現の稚拙さを補うつもりか?
余計な音が多すぎ。エンドタイトルにいたっては・・・なにこれ?

プロットとしておいしいはずのものが活かしきれていないのが残念を通り越して、腹立たしい。

的場1佐(鹿賀丈史)率いる精鋭部隊が時空を超え、戦国時代に投げ出される。
戦国の世を生きる決意をし、信長を名乗り、歴史を変えようとしている。
その余波は現代に及び、虚数空間ホールが世界を呑み込み始めた・・・。
“現代”を守るために、先の自衛隊部隊殲滅に向かうロメオ隊(これも自衛隊)。
イムリミットは74時間26分。

自衛隊自衛隊、戦国武士を巻き込んだ大スペクタクルな感じがしませんか?

そんなに小難しい話じゃないんです。
監督は、音を消した状態で、映画を見て面白かったですか?

活劇って、絵で魅せるものだと思うのです。

七人の侍』で、7人でいかに野武士から村を守るかってワクワクするプロットがあった。
隠し砦の三悪人』は、いかに姫を敵の領地から逃がすかという単純さが魅力。
その骨とは別に、人間的な葛藤や愛憎が肉付けされて魅力的な作品になるのではないですか?

個人的には手塚監督の『ゴジラ×メカゴジラ』はゴジラ映画の中でもかなり好き。
あのドロドロした人間関係をさらりと受け流し、ゴジラ釈由美子に焦点を絞った作り方は興味深かったし、成功していると思う。

なのに、何故こんなにおいしい素材を・・・という気持ちです。

そうそう、『ゴジラ×メカゴジラ』でメカゴジラの開発に携わる学者で、釈ちゃんと心を通わす少女のお父さん&釈ちゃんへ下心アリアリの中年オヤジを演じた宅麻伸蜂須賀小六役で出ていて、ちょっと三枚目な感じがいい味です。

伊武雅刀北村一輝の関係は、『ゴジラ FINAL WARS』同様、上司と部下系なのが笑えます。

ラストシーン・・・あの敬礼は・・・寒すぎる。
もし、本物の自衛官の方にやってもらったとしたら・・・あまりにも失礼。

見たくなりました?・・・なわけないですよね・・・。
悪口ばっかりになってしまいましたが、本当に東宝映画が大好きなのでこうなってしまいました。

福井敏晴作品として『ローレライ 』は面白かったんだが・・・。

ところで、手塚監督、今作ではどこかに映ってるんですか?