東宝特撮映画の世界 - 1960年代(ゴジラ映画 その1) -
キングコング対ゴジラ
1962年度作品
●監督:本多猪四郎
●製作:田中友幸
●脚本:関沢新一
●撮影:小泉一
●特撮技術:有川貞昌/富岡素敬/渡辺明/岸田九一郎/向山宏
●特技監督:円谷英二
●音楽:伊福部昭
●美術:北猛夫
●録音:藤好昌生
●出演:高島忠夫(桜井修)/浜美枝(桜井ふみ子)/佐原健二(藤田一雄)/藤木悠(古江金三郎)/有島一郎(多湖部長)
北極海の氷山から出現したゴジラは、帰巣本能により日本に向けて南下を始めた。同じ頃、ソロモン群島の孤島ファロ島で発見された魔神・キングコングは、TV番組に出演させようというカメラマン・桜井らの手により生け捕られ、東京へと運ばれていた。だが途中で目覚めたキングコングは、逃亡して九十九里浜へ上陸。闘争本能からかゴジラを求めて北上する。那須高原でついに対峙したゴジラとキングコング。だが第一ラウンドは放射火炎によりゴジラが勝利する。一時退散、都心に向かったキングコングは、高圧電流が流れる鉄塔をなぎ倒し進むうち、いつしか帯電体質になっていた。二大怪獣の共倒れを狙う防衛隊は、国会議事堂で雄叫びをあげるキングコングを麻酔で眠らせゴジラのもとへ…。富士山へ戦場を移し、ついに激闘は再開された!!
日米の怪獣王ゴジラと、キングコングの夢の対決が実現!スピーディかつ迫力満点の二大怪獣の対決を大スケールで描いた怪獣映画の集大成。
東宝創立30周年記念作品。元祖プロレス怪獣映画にして(これ以降対戦ものといえば“対”がつくようになる)、ゴジラ初のカラー作品(しかもワイド)。
加えて、充分練られた脚本(軽妙なタッチが賛否両論あるものの、関沢新一の代表作だと思う)は、ゴジラ映画では『三大怪獣 地球最大の決戦』と双璧だろう。
特撮も負けじと、『空の大怪獣 ラドン』や『モスラ』のような緻密さとはベクトルが違うが、ダイナミックな演出はそれよりも一枚上手か。
ゴジラの足の指が3本になった。
1970年3月21日に「東宝チャンピオンまつり」として短縮版にした際に、ネガフィルムにカットが施され長らく全長版は幻とされていたが、4Kバージョンで完全復活。
2016年7月14日上映会風景。完全版の美しさに感動した。
モスラ対ゴジラ
1964年度作品
●監督:本多猪四郎
●製作:田中友幸
●脚本:関沢新一
●撮影:小泉一
●特撮技術:有川貞昌/富岡素敬/岸田九一郎/渡辺明
●特技監督:円谷英二
●音楽:伊福部昭
●美術:北猛夫
●編集:藤井良平
●録音:矢野口文雄
●出演:宝田明(酒井市郎)/星由里子(中西純子)/小泉博(三浦博士)/藤木悠(中村二郎)/田島義文(熊山)
インファント島から飛来したモスラとゴジラが死闘を繰り広げるシリーズ第4作。ゴジラ映画屈指の名場面とされる干拓地からのゴジラ登場シーンをはじめ、ザ・ピーナッツ演じる小美人のシーンでは合成カットを大胆に導入。そして空と陸での立体的なゴジラとモスラの戦闘シーンなど見せ場の連続!ゴジラの悪役としての魅力が最大限に発揮され、モスラを“善の守護神”に設定。その背景に核の脅威が象徴的に描き出されており、ストーリーに厚みを与えています。
ファンタジックな『モスラ』と実世界の延長線上にある『ゴジラ』をぶつけた離れ業に拍手。
憎々しい三白眼&頬っぺたブルルンゴジラはモスゴジとして人気が高い。尻尾が現れ、モコモコと地面が膨らみ、ブルンと頬を振るわせながら現れるゴジラの何と愛らしいことだろう(後半は、頬が振るえなくなるのだが・・・実は最初に現れる時のブルルンは接着剤が剥がれてしまったための偶然の産物)。
後の対モスラ戦と違い、地対空にもかかわらず、肉弾戦がメイン。ゴジラの頭に取り付き足でガリガリやるモスラが良い。
ゴジラの眉(?)が白っぽく、耳が消えた。
1964年度作品
●監督:本多猪四郎
●製作:田中友幸
●脚本:関沢新一
●撮影:小泉一
●特撮技術:有川貞昌/富岡素敬/岸田九一郎/渡辺明
●特技監督:円谷英二
●音楽:伊福部昭
●美術:北猛夫
●編集:藤井良平
●録音:矢野口文雄
●出演:夏木陽介(進藤)/小泉博(村井)/星由里子(直子)/若林映子(サルノ王女)/ザ・ピーナッツ(小美人)
東宝特撮史上最強、宇宙怪獣キングギドラが初めてその勇姿を現わした記念碑的作品。地球の平和を守る三大怪獣ゴジラ、ラドン、モスラと凶悪宇宙怪獣のスケールの大きなバトルは見る者を圧倒!ザ・ピーナッツの小美人の最後の出演作品となるなど見どころ満載。
娯楽という意味では、『キングコング対ゴジラ』と双璧をなし、目もくらむほどの伏線の多さや展開がだれずにグイグイ押し出す感じが気持ち良い。鳥居とキングギドラの構図の美しさ、キングギドラの攻撃とそれを受け破壊されるビル群をしっかり描いている特撮は必見。
怪獣を恐れ逃げ惑っていた人間たちが、その怪獣を道具にするようになるとは、立派なもんだ。
怪獣語を翻訳する小美人が好きだ。もっと好きなのは、若林映子。
若林映子なら、『大盗賊』(1963年)の洗濯女がインパクト大だ。
1971年12月に「東宝チャンピオンまつり」でリバイバルされた際には『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 地球最大の決戦』と改題改訂され、『帰ってきたウルトラマン 竜巻怪獣の恐怖』、アニメ『いなかっぺ大将』『みなしごハッチ 忘れな草に願いをこめて』、人形アニメ『マッチ売りの少女』と同時上映された。
1965年度作品
●監督:本多猪四郎
●製作:田中友幸
●脚本:関沢新一
●撮影:小泉一
●特技監督:円谷英二
●音楽:伊福部昭
●美術:北猛夫
●編集:藤井良平
●録音:小沼渡
●出演:宝田明(富士一夫)/ニック・アダムス (グレン)/田崎潤(桜井博士)/沢井桂子 (ハルノ)/水野久美(波川女史)
高度な科学力を有するX星人は、キングギドラの猛威を避けるため地球側にゴジラとラドンを借り受ける。だがこれは罠だった。ゴジラ、ラドンを木星に連れ出したX星人は、キングギドラと共に電磁波でコントロール。地球攻撃を開始するのだった。
怪獣映画に本格的宇宙シーンを導入、SFとのドッキングを試みた異色作。暗黒の宇宙空間に黄金の巨体が映えるキングギドラのシーンなど、木星での特撮は極めてファンタスティックに展開。木星でのゴジラとキングギドラのユーモラスな戦いや、地球に降り立ってからの三つ巴の怪獣バトルなど注目シーン続出。伊福部 昭の名曲「怪獣大戦争マーチ」に彩られ迫力満点に描かれています。
ゴジラ、初めて宇宙へ行く。ゴジラ、シェーをする。東宝自慢の超兵器、Aサイクル光線車登場などワクワク度は高いが、特撮はやや小粒で淡白。それよりもグレンとX星人・波川との悲恋が物語に憂いを与えていて良い。
今見ると、女性が全て水野久美のX星はいい星だなあと思う。
1971年には東宝チャンピオンまつりの一作として『怪獣大戦争 ゴジラ対キングギドラ』と改題改訂され、アニメ『アタックNo.1 涙の不死鳥』『いなかっぺ大将』『ムーミン』『みなしごハッチ お月さまのママ』と共に上映された。