ローレライ - 岩山にたたずむ美しい少女に船乗りは惑わされる -
エンターテイメントなので、原作の前半部分をかなり端折っていて(そうしないと4時間の超大作になるしね)、登場人物の掘り下げが甘い(いろいろな“何故”に答えていない)。
ローレライ(2005年)
1945年8月、広島へ原爆が投下された直後の日本。“鋼鉄の魔女”と呼ばれた潜水艦が、最終兵器“ローレライ”を搭載して、ある任務のために港を出発した……。シネマトゥデイ
何の準備もなしに見ると、入り込めないのかなぁとも思うし、人それぞれの歴史観で見方が相当変わるかもしれない。
日本が戦争に突入せざるを得なかった理由、終戦に向けてどうしたのかなど、原作も読んで(それを受け入れるかどうかはそれぞれだが)、もう一度映画を見た方がより楽しめる。
リアリティはないです。東宝特撮映画ですから。
リアリティといっても、風呂に入ってない船員の顔が風呂上りのようにきれいだとか、艦隊の陣形がどうこうとか、髪型がどうとか・・・そういった瑣末的なもの。語るだけ愚かです。
だって、ローレライシステムですよ。
素直に、特撮映画の世界観並みに許容して観るのが筋でしょう(『海底軍艦』を観るときくらいに)。
東宝としては『潜水艦イ-57降伏せず』以来、45年ぶりの潜水艦もの。
『GODZILLA FINAL WARS』の撮影終了後、大プール(末期は“大”ではなかったが)も解体。
もちろん、大艦隊をプールに並べる予算も時間もないんだろうが・・・(12億円とは・・・少ない予算)。
CGで描かれる戦闘シーンはアニメ的で、かっこいい(これも、意見の分かれるところか)。
そんなことより、自分を賭して祖国を、愛すべき人々を守るいうこと。敗戦ありきではなく、戦う意味を問う映画。その精神性をかみしめる映画です。
愛国心を忌むべきことと言わんばかりの戦後教育に毒されながらも、日本を愛すべき祖国と思いたい、漠然とそんな思いを抱いていた人々には支持された映画なのかな。
妻夫木さんの名誉のために・・・髪型に関して、彼は“切りましょうか”と言ったが樋口監督が“そのままでいいです”と言ったようです。
おいしかったのは、ピエール瀧さんですね。いいとこ取りとは、まさに、このことでした。