ハロー!?ゴースト - 今生きていることへの幸せを感じる -
子供の頃は、朝鮮人の友だちが多かったと思う。
一番親しかった人は、大学に入る頃に家族とともに北へ帰っていった。
李恢成『伽倻子のために』を読むと、どんな事情で帰ってしまったのだろうと思い出す。
ハロー!?ゴースト(2010)
この韓国映画はぜひ観てほしい。
内容は語らない。初見の衝撃というか感動というか、そういう楽しみを奪ってしまうから。
ネットも探らない方が良い。映画紹介サイトなどでもネタバレしているから危ない。
この予告編すら蛇足かもしれない。
落語なら『鼠穴』、ゲームなら『シュタインズ・ゲート』をこれから知ることができる幸福と同じだ。
まだ、心が震える感動が残されている人に嫉妬する。
ポスターにしろDVDのパッケージにしろ、それを見て、よし観てみようと思う人はいないだろうというほどの酷い出来だ。
実際、内容はともかく映画としての醍醐味はない。カメラだってそんなに凄くない。どうなんだろう、劇場映画のレベルかな?というほどに安い。
ところが、この安っぽさやちょっとしたショットに意味を持たせるラスト20分がひたすら涙腺崩壊。
コメディテイストでずっと進んでいて、ちょいちょい挟まってくる歯切れの悪さというか違和感をこのラスト20分で回収しまくる心地良さに、制作者の意気込みや情熱を感じる。
実際はそんなに冷静なものではなく、このラスト20分、映画の世界に完全にはまって泣き続けてしまうのだけれど。
ネットで2日続けて観た。
鈍い方ではないと思うが、映画製作者は実に多くの素材をちりばめているのだなと驚いてしまう。
2回目は伏線を理解しているはずなのに、“まだこれがあったか”と新たな発見があった。
名作。