五代目 古今亭志ん生
大河ドラマ『いだてん』の語り部で古今亭志ん生(ビートたけし)がクローズアップされていて、良し悪しをひっくるめて話題になっていることがうれしい。
破天荒な若かりし頃の志ん生を森山未来が演じているが、どう変化するとたけし顔になるのか・・・あのイケメンがああなってしまうのだから(輪郭の話だよ)・・・生命の神秘だなあと思っている。
映像は「風呂敷」(昭和30年5月4日放送「放送演芸会」)しか市販されていない。志ん生を楽しむには音源しかないのだ。
昭和の名人たちの落語音源データをまとめた素晴らしいサイト。
出囃子は一丁入り。
火焔太鼓
志ん生といえば火焔太鼓。元々ある小噺を盛るだけ盛って志ん生が作り上げた新作落語と言って良いと思う。その面白さは聴いてもらうしかない。文字で説明しても面白さが伝わらない。
「世に二つという名器でございます」
ボロの太鼓が、実は火焔太鼓という名品だと説明を受ける際の表現。
不思議な言い回しで、“世に二つとない”の言い間違い?、いやいや、火焔太鼓というものは対だったので“世に二つという”で良いのだ、などなど意見は様々だ。
この言い回しは、息子の代(古今亭志ん朝など)にもそのまま受け継がれているから、これで良いのだと思う。
志ん生曰く「落語は教科書ではない」なのだから。
録音は11本残されているが、CD化されているものは9本か。その内、8本は耳にしている。
1956年9月3日録音が好き。
女性や子どもの屈託ない笑い声が噺の楽しさを後押ししている。
この一体感は録音でも十分味わえる。同じ音源でも音質の差があって、お薦めは『古今亭志ん生 名演大全集』の1枚(1956年9月3日録音が入っている)。
古今亭志ん生 名演大全集 1 火焔太鼓/黄金餅/後生うなぎ/どどいつ、小唄
- アーティスト: 古今亭志ん生(五代目)
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2005/10/19
- メディア: CD
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黄金餅
道中付け(街道の道筋や地名をテンポよく一気に言いたてるやり方)は、志ん生の芸風からはズレたものだけれども、つっかえそうでつっかえない、手を差し伸べたくなる様は、客を引き付ける味になっている。落語の不思議(勧善懲悪の倫理観などない)を教えてもらった破壊力満点の志ん生「黄金餅」は必聴。
録音は3本と意外なほど少ない。
志ん生を聴くなら、
NHK落語名人選 - 五代目 古今亭 志ん生 - UNIVERSAL MUSIC JAPAN
NHK落語名人選(旧)から選ぶと失敗がない。
106枚の内14枚が志ん生だ。録音の質も悪くない。
志ん生の録音は、各レコード会社、各企画で使いまわされているものが多すぎて、混乱(というか買ってガッカリ・・・持ってるよ、これ)してしまうこと必至。レンタルでまずは聴いてみると良いかも知れない。
気に入ってハマったなら、こちらがお薦め。
50枚セットで堪能しましょうw
志ん生は、1961年暮れに脳出血で倒れ、復帰後は口跡が悪くなってしまう。
1964年に東京オリンピックが開催される。
半身不随の志ん生を『いだてん』ではどう描くのだろう・・・。
今回の大河では、狂言回しの志ん生が気になって仕方がない。